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フランス (モン・サン・ミシェル)細井佳子

France MtStMichel

 <海外
スキーツアー延泊組1日目報告>
 〜あこがれのモン・サン・ミシェルへ〜
                 
 モン・サン・ミシェル…その名前を知ったのは今から??年前、私がまだ10代の頃である。
出会いは一枚の写真。朝靄の中に佇むその姿が、この世のものとは思えない不思議な空間を作り出していた。淡い紫と朱鷺色の空を背景に海上を一本の道が島へ向かって続いている。島には一見城のように見える尖塔を有する建物が建っている。写真のタイトルは「モン・サン・ミシェル」とある。この島がフランスにあることを知ったのはそれから随分後のことだったと記憶している。
  その不思議な空間 に自分の足で立てるとは、その頃の私は思ってもいなかった。 今回のツアーで延泊の話が持上がり、その時に山田専務理事の口からモン・サン・ミシェルの名前が出た時、パリからはかなり離れた位置にあり、行くとなるとかなりのドライブとなる事もろくに考えずに「是非行きたいです。」と答えてしまった私のわがままを聞いて頂けた事を大変有り難く思います。
  「モン・サン・ミ シェル」の名を知らない方の為に少々説明を加えると、パリから西へ約 300qイギリス海峡に面したアブランシュの街から海上へと約5qの砂州に聳える花崗岩の岩山にモン・サン・ミシェルはある。満潮時にはその周囲 900mは海に囲まれ、干潮
時にはその周囲に広大な砂州が出現し、海ははるか沖合へとその姿をひそめる。島の中央に建つのは巨大な修道院である。
伝説で
はアブランシュの街に住むオベール司教の夢に大天使ミカエル(ちなみにフランス語でモンは山、サン・ミシェルは大天使ミカエルの意)が現れ「聖堂を立てよ」のお告げを受けた司教が岩山の頂に小さな修道院を建立したとある。
 その後、この小さな修道院は何世紀にもわたり大聖堂へと増築がなされ、幾度か戦争にも巻き込まれ、修道院は要塞と化したり、監獄として利用されるなど複雑な運命をたどりながらも、その立地条件により戦火と敵の侵入を免れ現在に至ったと言う。
  モン・サン ・ミシェル出発当日、パリの空は曇り空。いつ雨が落ちてくるかを心配しながら、またモン・サン・ミシェルが霧にその姿を隠していない事を祈りながらのドライブとなった。途中、高速道路の両側には北海道の広大な牧草地や農地を更に数倍にしたような見渡す限りの地平線が続く。広い!とにかく広い!!その広い草地に馬・牛・羊などが寒空のもとで草を食んでいる姿も見受けられる。通り過ぎる街は石造りの家が多く、それぞれが皆異なった趣を持っている。その造りや手入れされた庭は家の主の個性を表しているかのようで見ていて楽しい。
  いよいよ林の向こうにモン・サン・ミシェルがその姿を表わした。天気はどうにかもちそうである。島へ向かう一本の真っ直ぐな道。羊が横断するのをしばし待つ。この日は丁度干潮で砂州が広がっていた。巨大なモン・サン・ミシェルの全景を撮影できるポイント、駐車場の手前側で一度車を止め撮影タイム。再度車に乗り
込み島の近くへと移動。観光シーズンを外れている今は駐車場もガラガラである。要塞として利用されていた時代の名残である城壁に開けられた門を潜り、左右に土産物屋やレストラン・ホテルが並ぶ石畳の坂道を歩き幾つもの階段を上る。
  シーズン中のこ の辺りは「土産物屋の客引き合戦で江ノ島のようである」とは山田専務理事の言。現在は閉まっている店も目立ち、静かである。迷路のように曲がりくねった道を山の頂にある修道院へと息を切らしつつ上る。スズメ、コマドリなどが手の届きそうな距離にまで平気で飛んで来たりする。ノートルダム寺院などの教会建築とは異なり、派手な装飾は一切ないが、何世紀にも渡って徐々に建て増しされてきた各種の部屋は、その時代ごとの石造でありながらも美しい曲線と直線の組み合わせや、細かな彫刻が「落ち着いた美しさ」を持ち、ここが修道士達の祈りと修行の場であった事を物語っている。
  聖堂の尖塔 にはこの島の歴史を見続けてきた大天使ミカエルの金色に輝く像が立つ。見学中に一枚の小さな白い羽を見つけた。聖堂の中で見つけたこの羽が、ミカエルの落とし物のように思え、お守りにとそっと拾いあげた。聖堂の窓から外を見るが、海は見えない。これ程潮がひいているとは思わなかった。
  車へ戻る途 中、記念に貝殻の一つでも拾えればと思い、波打ち際に残された白い貝殻の列を見る。どれも1p程のアサリのようなアカガイのような二枚貝(中身入り)が打ち上げられている。この辺りは潮干狩りには最高かも知れないなどと思う。
島からの帰り道、何度も振り返りながら遠ざかっていくその姿を心に焼き付け私のモン・サン・ミシェルへの旅は終わった。



 最後に今回のモン・サン・ミシェル行きに際して、ドライバー、ガイド、そして撮影ポ
イントの名アドバイザーとしてお世話になりました山田専務理事に心から感謝の気持ちを
込めて、お疲れさまでした!
そして Merci beaucoup !
                                   by K・H


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