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第38回SAJ技術選手権大会

総監督:SAK専門委員 山崎浩一

準指検定の終わりとともにまたやってきた。そう、今年で38回目を数える全日本スキー技術選手権大会である。会場は、昨年に引き続き白馬八方尾根で開催された。

予選第1日目の朝を迎え、選手たちの雰囲気もいつものように和やかであった。今日は「小回り中斜面不整地フリー」と「大回り総合斜面フリー」がそれぞれ名木山第2ゲレンデとウスバゲレンデで開催される。コーチ陣として、小回りには堀/門脇/森本が、大回りには柳橋/田村/山崎と分かれて配置についた。

 今年のフォアランナーには神奈川県から男子/谷川聡郎と女子/工藤裕子を出している。いよいよ予選の幕が切って落とされた。大回りでは斜度的にはさほど急な斜面設定ではないが、斜度の変化点で転倒する選手がぽつぽつと出てきている。思ったより斜面コンディションが難しいのか。そんな状況下で神奈川の選手の得点も伸び悩み、250点台を出すにとどまっている。
 そんな中、小回りのコートから状況が無線で入ってきた。フォアランナー谷川君がかなり良い滑りをしたとのことで、それも助けてか小林269点、翠川263点、武田269点、佐藤262点、飯島263点と260点台の得点を立て続けに叩き出したとのことだった。今年はいけそうだとの思いが、コーチ陣の頭に広がった。
 大回りを滑り終わった翠川がやってきて他の神奈川の選手の得点を聞き「おおっ、俺259点ラップジャン」と、相変わらずわけのわからんことを言っていた。小回りを終わった飯島も大回りゴール付近にやってきた。サポートには例年のようにご両親が付き添っている。まだスタートまでは時間がある。そこで飯島は「お父さん、もう1本滑ってこようよ。」と。完璧な家族スキー??である。
 予選第2日目を迎えた。2日目は「大回り中斜面不整地フリー」と「小回り急斜面整地フリー」がそれぞれ名木山第2ゲレンデと名木山大壁で行われる。コーチ陣は大回りに堀組、小回りに柳橋組がついた。一昨年準決勝まで駒を進めた工藤も昨年は怪我に泣き、そして今年は思ったように点が伸びていない。また、同じく一昨年準決勝に進出した武田も、昨年のブランクのせいか点が伸びていない。2日目で挽回と気合の入るところである。
 小回りでは、佐藤263点、宮城260点と何とか260点台の得点を出してはいたが、他県の選手も260点台、270点台と高得点を出している。そんな中、大回りからの無線情報で翠川263点、小林260点であったとのことだ。今日の女子は、思ったように点が伸びてくれない。非常に厳しい状況だ。男子は、例年よりも260点台の点数がよく聞かれ、期待も膨らむ。

 小回り、永吉のスタートが近づいた。柳橋監督から無線で指示が飛ぶ。「斜面下に向かって左を使ったほうが良い。」と。永吉「ブラジャー。」。昨年に続き「ラジャー」と言う意味であった。成長がない。技選のパンフレットには「銀行を退職して岩岳スキースクールでインストラクターをしています。嫁にも行かず(行けず)まだがんばります。」と書いてあり、人生の方向変換を遂げていた。
銀行リストラにあい岩岳スキースクールでインストラクターに拾ってもらいました。嫁にも行ける見込みもなく、まだがんばります。」といったことでしょう。

 一方大回りはというと、昨日の予選1日目の小回りで使った斜面をそのまま使っているため、不整地とはいえ、川の字のようにコートに3本、大きなこぶのラインが立てに出来ている。滑るにはこのこぶのラインを1本か2本跨いだ形で弧を描いてくることになる。ゴール付近の堀コーチの陣取った隣には、愛知県のコーチが陣取っていた。愛知県女子選手が滑ってきた。コートを右から左までフルに使ってしまい、弧を描くどころか稲妻のような軌跡を描き得点は230点台。愛知県コーチも頭を抱えていた。
 そこにその愛知県女子選手がやってきてコーチに報告。「思ったより突っ込んでいけます。どんどん突っ込んでくるように次の選手に言ってください」と。愛知県コーチ、「???」。いよいよ飯島の番である。堀コーチから指示が飛ぶ。「飯島、いいか、上から見てコートの左半分を使って、中回りで降りて来い。こぶは1本跨ぐだけでいいぞ。」と。飯島スタート。スタートも門脇コーチから無線で堀コーチに、「飯島ビビッてるよ。」。飯島は見事にコースの端から端までをフルに使い3本を皆跨いだのであった。

 滑り終わった飯島が堀コーチに駆け寄ってきて一言、「がんがん突っ込んでいけるので、皆にそう言って下さい」と。堀コーチ「???」

 予選が終わり、結果が手元に届いた。今年はいけるか。
男子の小林116位、翠川119位の2名が予選通過。女子の予選通過はならないという結果であった。思ったより厳しい結果となった。

 いよいよ準決勝である。2人には1点でも多くとってもらい、1人でも多く抜いてほしいものである。準決勝は、「小回り急斜面不整地フリー」「大回り急斜面整地フリー」「総合滑降総合斜面」がそれぞれ黒菱ゲレンデ右、兎平、黒菱中央で行われる。昨夜の大雪の影響で開始時間が遅れたが、コートの変更もなく準決勝が始まった。2名とも気合十分でまずは小回りに臨んだ。翠川は無難にこなしたものの、小林は半ばまでは非常に良かったが、途中バランスを崩し、思ったほど点が伸びなかった。
 大回りは雪が激しくなっていた悪条件の中、2人とも力の限り滑った。午後になり、総合滑降が予定されていたが、2時を回った時点で悪天候視界不良のためきゃんせるということとなり、準決勝は午前の2種目によるものとなった。結果は、翠川112位、小林121位であった。

 準決勝をもって、神奈川県の選手にとっての技術選は閉会となった。堀コーチのコメント、「神奈川県の選手は年々うまくなっている。レベルアップしている。来年に期待したい。」。(でも、他県の選手もレベルアップしているからなぁ......)

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