ホーム > 行事レポート > 2003 > 北海道・スノーボード

スノーパラダイス in北海道 スノーボード
大井智子広報委員レポート

朝里のレストハウス
これが「中華どんぶり」
 12月14日,朝里川温泉スキー場。
午前中の県民スキースクールの「級別バッチテスト」も無事終了した。三浦広報委員は2級の前走を立派に務め,おじけづいたわたしは1級のスターターを務め,1級の前走では片忠夫常務理事がとてもきれいな滑りを披露した。
ほっとして,三浦さんと「センターハウス」2階のレストランで「中華どんぶり」を食べていると,横をスノーボードの高橋佳伸専門委員が通りかかった。すかさず後を追い,午後の講習場所を聞いた。イエローコース。三浦さんは検定集計のサポートにまわり,午後はわたしがビデオとデジカメを撮る。

イエローコース

スノーボード講習風景

「スノーボード教室はいまがねらい目」
 イエローコースに向かうリフトに乗りながらあたりを眺めると,ゲレンデにぺたりと座る一団をすぐさま発見。さっそく接近する。生徒は4人。うち女子1人。高橋さんに,次はどこに向かって滑るか目標を聞き,そこに降りてビデオを構えた。まずは高橋さん。いやあ,すごい迫力だ。きりきりと雪面を削り取りながら,ぐーっと板がしなりながら迫ってくる。スキーばかりを撮っていると,スノーボードがやけにかっこよく見える。
続けて降りてきた男子2人の腕前もなかなかだ。紅一点の女子もゆっくり降りてくる。残り1人の男子はスノーボードを始めてまだ日が浅そうだ。たまに転びながらも,するりするりと降りてくる。
 ルスツで三浦広報委員がスノーボード班をビデオ撮影したときは,「オフピステン」をバンバン滑っていたため,追っかけるのが至難の業だったと話していた。今日は,ゲレンデ内での基礎練習なので,ビデオ撮影は順調に進む。高橋さんは時間をかけて一人ずつていねいにアドバイスしている。
途中で撮影ツールをデジカメに変えた。レンズをのぞきながら,「班員の滑走レベルが違うから,教える側はたいへんだろうなあ」などと考えた。それでも,マンツーマンに近い形でこんなにていねいに教えてもらえるなら,スノーボード教室は絶対おとくだ。世のすう勢からいくと,約360人もの参加者のうちスノーボードの希望者がたった4人とは不思議な気がする。

スノーボードのメンバー

スノーボードのメンバー

「人数が少なくて肩身が狭い」
 講習が終わってから,男子2人に感想を聞いた。「去年に続けて2回目の参加」という男性はスキーの指導員資格をもっている。「スキーもボードも両方できたらおもしろいと思って始めた。シーズン初めに,雪質がよくて人の少ない北海道で滑れるのは,研修会としてはいいのでは。3日間,同じメンバーと滑ったので雰囲気も楽しい。ただ,360人あまりの参加者のうちスノーボードは4人だけで,肩身が狭かった。初日にニセコスキー場に行きたいと希望を出したけど,バスがいっぱいだったらしく,ルスツになってしまったのが残念。去年の参加者は5人。少なければ少ないなりにいいこともあるので,来年も来ようと思う」。
 「スノーボードは去年3回やっただけで,教えてもらったのは初めて」という男性にも,「レベルが違ってたいへんじゃなかったですか?」とたずねると,「講習は4人だけで,すごい目をかけてもらってよかったです。班員の人たちにもめんどうみてもらいました。日程が合えば,来年もまたきたいです」とニコニコしながら返事が返ってきた。彼は20歳。とくにクラブには入っていない。スキーはもちろんウインタースポーツは初めてだという。

スノーボード講習風景

スノーボード講習風景

「高橋専門委員の長い話」
 班員の評判はすこぶるいい。こうなったら,ぜひとも先生の話が聞きたい。だがその後,高橋さんに遭遇する機会はなかった。すっかりあきらめた帰りの飛行機で,隣の席に高橋さんが座っているではないか。千歳空港から羽田までの1時間30分あまり。スノーボードについて熱っぽく語ってくれた彼の話の一部を,ここに紹介しておこう。
 
「型にはまらないよう気をつけた」
「型にはまらないように気をつけた」という講習は,「通路はショートターンで降りるなど,スキー場で楽しむための技術をまず教えた。上級者は,急斜面でカービングできるように,初級者はずらし方を覚えるように,教えた」。
「みな『フリースタイル』の板をはいていたので(ほかに細長い『アルペン』という板があるらしい),ニセコのように,パウダースノーがあって,起伏に富んだゲレンデに行けるとよかった。ロングターンやショートターンの練習も大切だが,それだけじゃつまらない。ボードは,『オフピステン』や『ジャンプ』など,普通のスキーと違うラインが描ける。基本的な技術を身に付けさせて,実践的な滑りにすぐにいかせてあげたかった。札幌国際では,『新雪コース』を滑った。ピステンが踏んでない,パフパフの雪で,みんな結構よろこんでくれた」という。

「新雪を降りたら,『ハイタッチ』で迎える」
4人の生徒が参加したルスツでは,奥のコースをすべて滑ったという。「転んでもいいからどんどん滑らないと。黙らずに,みんなで『ヒューヒュー』と言いながら,気持ちを表に出して滑った。一人ずつ滑り降りるのを,気持ちをもって迎えるためだ。パウダースノーを滑り降りると,『ハイタッチ』で迎えた。朝里川温泉スキー場での午前中は,レッドコース右側のすり鉢状のところで,ひざ下ぐらいのパウダースノーを滑った。初級者の子は転ぶけど,それで気持ちいい。真っ白になりながらも,笑顔を見せてくれる」と話してくれた。
ううむ……。楽しそうだなあ。SAKが目指している,「楽しいスキー」のヒントは,実はここらへんにあるんじゃないかしら。
 それから高橋さんが言った言葉は示唆に富んでいた。「初心者を,すぐに『バッチ検定』に当てはめる,そんな世界に引きずりこまないようにしたい。型にはめないで,本来のスノーボードの楽しみ方を教えてあげたい」。

スノーボード講習風景

スノーボード講習風景

「ボードやってみるべし」
 たしかにスキーの研修会は,まだまだカタイ。降りてきた人を,ハイタッチで迎えることは難しそうだが,もう少しほかの班員の滑りに興味を示し,ニコニコして,おしゃべりに花を咲かせてもいいのかもしれない。北海道から帰ってきて,車山研修会に参加した。班で,少しあれこれしゃべってみたが,なんとなく浮いた。みんなとってもまじめだった。技術習得は研修会参加の目的のひとつだが,それだけじゃない,と最近感じることが多い。スキーというツールで人と接することの楽しさを,このごろとくにうれしく思うからだ。
 ところで,スキーヤーはすんなりスノーボードへ導入できるものなのか?
「スキーやってる人は上達が早いです。斜度やスピードに慣れていて,操作を覚えればあっという間にうまくなる。カービングは,スキーと違って雪面スレスレに体を倒します。視界は雪面から10cm。ボードはもともとスノーパウダー用に作られたもので,雪面から浮たりもします。スキーと違った世界をぜひ,味わってほしいです」。スノーボード,やってみるべし。
今回は専門委員の人たちから,「ボード持ってるけど教わる機会がなくて。今度やってみたい」と声をかけられたそうだ。「現地でのレンタルでもいいから,こうした研修会でも,途中から『スノーボードの講習を受けてみたい』と思う人に,チャンスを与えてあげたい」と熱っぽく語る高橋さんは,もと「鵠沼」のサーファー。わたしも「下町のサーファーチーム」と何年か千葉の海に通いましたと,昔話に花が咲いた。いまの高橋さんは起業家で,冬はスキー場近くに家を借りてコンピュータ持参で仕事をしながら,スノーボードをやっているそうだ。あ,あっぱれ。
 そんなことを話しているうちに,飛行機は羽田に着陸した。高橋さん,ありがとうございました。ほかの話も機会があったら,どっかで引用したいと思います。

「スノーボード教室」おわり。


ホーム > 行事レポート > 2003 > 北海道・スノーボード