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受検に対する心構えとSAJ・SAKの現状について
教育本部長 渡辺三郎
   

◆受検に対する心構え
 「03年度 資格検定 受験者のために」P6基礎スキー準指導員・指導員検定受検にあたってを参照してください。まず、今回、検定にチャレンジすることを決意してくれたことに感謝したい。スキーは、お金と暇のかかるスポーツ。この厳しい状況の中、特にシーズンに入れば、みなさん大変な思いで仕事をやりくりし、講習会や検定会に参加しなければなりません。

◆できるだけ受検に配慮します
 たとえば今週と来週の2度の理論講習会にしても、出席が義務付けられていますが、みなさんにとって貴重な休日が2日も奪われてしまい、何とかして欲しいとの声を聞いています。この件に関しては、何らかの事情で1回しか受講出来なくても、その受講できない理由を私宛文書で(渡辺教育本部長宛て)提出していただければ、受験は可能としています。勿論、実技の単位をクリアーしてのことですが。

◆スキーを駆り立てているもの
 さて、皆さんをスキーに駆り立てているものはなんでしょうか。何と言ってもスキーは楽しいからでしょう。雪の白さって良いですよね。大自然の中の白銀におおわれた山野を自由自在にスキーを操って、思い通りのシュプールを描く、こんな素晴らしいことはありません。上達すればするほど、より困難な斜面をチャレンジできます。

◆すごく狭い価値観の中でスキーをするようになっていて
 スキーを極めようと思えば奥が深く、スケールの大きなスポーツです。ところが検定ということで種目が決められており、その種目をこなさなければならない為に、細かいことにこだわって、実に幅の狭いというか、スケールの小さいスキーに陥っているのではないでしょうか。私の所属するクラブに神山良平君と言う人がいまして、冬は八方尾根でインストラクター、現在はHTMジャパンに勤務、今日午後も講習で連盟の協賛メーカーの一つとして挨拶にきますけれど、彼がクラブの会報でこんなことを言っています。
”現在の基礎スキーは管理されたバーンを、いかに上手に滑るかと言うスポーツになってきている。本来は様々なシチュエーションを滑る為にあるべきはずの「技術」が決まったバーンで決まった種目を滑る為の技術になってきている。すごく狭い価値観の中でスキーをするようになっていて,それが何時の間にか自分の幅も狭くしていた”

◆検定のためだけのスキーを絶対にしないでください
みなさん、今回は検定と言う大きな目的がある訳ですが、これだけは言っておきますが、検定のためだけのスキーを絶対にしないでください。そんなスキーは楽しくなんかありません。スキーは楽しくやらなければいけません。楽しく滑っているから、何時の間にか上達もします。つまらないと思ってスキーをしても中々上達はしないでしょう。私たちの良く行く東京近郊のスキー場は確かに便利です。施設や設備も申し分ないし、そのバーンはしっかり整備されています。しかし、そういうところばっかりでスキーをしていたなら、又それで満足しているとしたら、それは実にスケールの小さな幅の狭いスキーだと思います。応用性の無い、ワンパターンのすべりしか出来ないスキーヤーになってしまいます。短いコースを何度も滑るよりも、少し足を伸ばして、遠出をしてスケールの大きなスキー場へ行き、変化に富んだロングコースを休まずに一気に滑る。この一滑りの中で色んな体験が出来ます。様々なシチィエーションがあり、その状況に応じて、的確に対処していく。これこそがスキー本来の醍醐味、スケールの大きいスキーだと思います。検定のために種目練習にこだわるのは当然ですが、たまには純粋にスキーを楽しむことも忘れないでください。

◆理論検定について
 さて、私が指導員を受検した頃は、たぶんスキー教程1冊のみで、それを丸暗記した覚えがあります。現在は教程の分冊化ということで、そのたぐいの本が4〜5冊もあり、その他に年度版オフィシャルブック、受験生のために、があります。膨大な量で、至れり尽せりというか、情報が多すぎて整理しきれないと思います。理論検定に関して話をしますと、準指受験者の方は、この2回の理論講習会で、講師の方の講習内容から出題されますので、それを中心に勉強していただければ、合格点は楽にクリアーできると思います。問題は、指導員受験者(正指)の受験者です。本日配布された資料にも、昨年度の問題を載せていますが、オフィシャルブックを含めた、実に広い範囲から出題されています。「受験者のために」のP8〜P9準指用、P10〜P11指導員用を見てください。どちらも指導理論編がメインとなっています。SAJの専門委員会議でも、問題が難しすぎるのではとの意見があり、以前に比べたら、重箱の隅をつつくような問題は少なくなってきて、私もやさしくなってきていると思います。又3年程前の規程の改定で合格点も70%から60%に引き下げられており、以前ほど理論で落ちる人は少なくなってきていますが、それでも昨年の第3会場では3割の方が合格点に達していません。P10〜P11のテキスト範囲の部分は必ず目を通してください。

◆実技講習について
 指導実習の6Hに関しては、SAKでは理論講習で触れますが、あとは皆さんのクラブでの実践講習での経験をつんでください。実技実習についてですが、トータルで22時間、1日2単位4H、単純に計算すると、クリアーするためには5.5日です。昨年から、北海道行事にSコース(5日間講習)を設定、特例としてのこSコースのみの参加で単位をクリアーできるとしたところ多くの方に参加いただきました。なかにはこれ1回しか出席しない人もいましたが、たぶん,他でそれなりの練習をつまれたかとは思いますが、よほどでない限り、1回では無理でしょう。多くの方は、単位をクリアーするために、何回か受講しなければなりませんが、皆さんを受け持つSAKの専門委員は60名ほどいまして、同じ講師にあたるとは限りません。そこで色んな講師から色んなことを言われて、特に初めて準指受検される方は、悩まされると思います。しかし、今はVTRというものがありますので、悩んだ時はしっかりVTRを確認してください。

◆受検を通していろいろ学んでください
 今の世の中、一つのことに一生懸命になれること、無我夢中になれることはあまりないと思います。今回の皆さんは一人ではありません。同じ目標を持った人たちが集まっています。スキーの良いところは日常生活から離れて、山の中に2泊も3箔もして朝から晩まで一緒にいるわけですから、いい面も悪い面もさらけだしてしまう。最近人間関係が希薄になっていると思われますが、スキーの世界はそれは逆だと思います。是非、今回の受検を通じて色んなことを学んで欲しいし、友人をたくさん作って欲しい。


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