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指導員養成講習会理論2

平成15年11月2日(日)中里健次、江口 潤 広報委員レポート

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写真:講習会風景
真剣にノートを取っています

写真:講習会風景
今回も多くの方に来て頂きました

◆指導員養成講習会 理論 2 
平成15年11月2日(日) かながわ労働プラザ

秋晴れの行楽日和の中、かながわ労働プラザで養成講習理論2が行われた。

写真:講習会風景
古郡副会長

写真:講習会風景
山田専務理事

◆ 古郡副会長あいさつ
 「現在、神奈川県には約2000人の指導員がいますが、仕事や家庭の都合により半分ぐらいの方しか現場に立ち会えないでいます。県連としてももっと指導者を増やしたいと考えています。落とすための試験ではないので、がんばっていただきたい」と冒頭に励ましの言葉があり、「不幸にして落ちても、受検を続けてほしい」と少し現実的な話となり、「皆さんには底辺の拡大のために活躍していただくことを期待しています。受検にあたっては、平穏な気持ちで望んでもらいたい」との話で締めくくった。

◆ 山田専務理事あいさつ
 前回に引き続きなので話すことはあまりありませんと言いつつ、受検のアドバイスとして話が始まった。「一人でも多くの人に合格してもらいたいが、残念ながら落ちる方はいる」、「ジャッジする側と受ける側との気持ちがずれている場合がある」、「うまくなろうとする気持ちが強すぎて、技術の上ばかり見すぎている人が見受けられるが、受検ではもっとレベルが低いところで落ちていることが往々にしてある」と続き、「顔をあげて前を見て、腰を伸ばして腕をひらく、といったことが出来ずに不合格になる人が非常に多くいるので、こうしたことが自然にできる努力をしてほしい」と締めくくった。

写真:講習会風景
渡辺本部長

写真:講習会風景
みなさん頑張れ!

◆ 理論講習:渡辺教育本部長
 『受検に対する心構え』
 「専門委員のなかで一番滑っているのは私だと思います」とのあいさつから始まり、新教程による受検方法の変更等の説明があった。詳しい内容は「受検者のために」P.4〜P.13をよく読んでくださいとのこと。準指導員の受検者数について、平成8年から10年頃にかけては全国で5,000人ぐらいであったものが、平成14年には2,000人ぐらいになってきているとの話があり、神奈川県では300人ぐらいの時期もあったが、今年は200人ぐらいになりそうだとのことでした。
 「みなさんをスキーに駆り立てるものは何でしょうか?」との問いに、自ら「大自然の中で滑ることが一番の理由でしょう」と答え、「検定ではどうしても小さなことにこだわってしまうが、検定だけのための滑りではつまらないので、たまには遠くの大きなスキー場で長い距離を一気に滑ってもらいたい。長い距離を滑ることによって、いろいろと得られるものもある」と、ちょっぴり白馬五竜スキー場の宣伝も兼ねてなのか、お話された。
 教程『スキーへの誘い』の中で「スキーは大自然の中で無になれる」という、吉永小百合さんの話はとても共感できるといい、また、「スキーで感動したことが皆さんあるとは思いますが、自分は深雪を滑れるようになったときに、とても感動しました」と熱く語った。最後に「スキー場には1日前には入ることが多いので、ゲレンデで声をかけてください」との余裕の言葉で締めくくった。

写真:講習会風景
伊藤専門委員

写真:講習会風景
竹腰専門委員

◆ 理論講習:伊藤明子専門委員
 『スキーの運動特性と技術の構造論』 技術と指導 スキーへの誘い
 「新教程P.16以降の部分はスキーの本質的なところなのですが、30分間での説明はとても難しい・・・」との話から講義は始まった。
 まず「重力を利用した落下運動」、「複雑な状況に対応する技術」、「用具を利用したターン運動」の3つの基本について、「重力を利用した落下運動」では、自分のこぶ斜面での滑りの感覚を例に、「谷に足を突っ張るのではなく、落下していくのが当たり前に感じる」、「足の裏に雪が張り付いている感じで滑れたときはとてもよかった」と丁寧な説明で講義は進んだ。「ターン運動の原因」では、分解写真などが載っているので、文章と写真をよく見比べてみることが理解につながるとアドバイスがあった。教程はむずかしく書いてあるが、内容はけっしてむずかしいものではなく、滑りを考えてみればすごく分かりやすいとも説明があった。
 「荷重と角付け」については、「テールコントロール」、「トップアンドテールコントロール」、「トップコントロール」ということが重要視されているが、肝心の荷重が抜けてしまっている人が多いとの指摘があった。
 ご自身の効果があった勉強方法として、「分解写真を何度も見て、からだを使って実際に動きをやってみたりして、理論と実践を一緒に覚えておく」との話があった。こうしたイメージトレーニングを、雪上に立つ前にまでしておくことが有効である、との話には説得力があった。最後に自分自身に自信があると言い聞かせることが、ミスを最小限に抑える効果もあるとの話で講義を終えた。
◆伊藤専門委員 スキーの運動特性と技術の構造論 (※)


◆ 理論講習:竹腰SAK専門委員
 『スキーの特性を生かしたトレーニング』
 「この講義では、スキーのために覚える事項というより、スキー技術以前に実践しなければならないことについて話します」と竹腰専門委員の話は始まった。竹腰専門委員は去年、おととし、今年と、3回目の講義であり、大学で教鞭をとる竹腰氏の、パワーポイントを使った説明は軽快で、受講者も理解しやすかったことだろう。
 教程のタイトルが「スキーのためのフィットネス」から「スキーの特性を生かしたトレーニング」に変わったが、昨年も試験問題に使った、フィットネスの一般的原則として、「個別性」、「全身性」、「漸進性」、「継続性」、「自覚性」、「栄養と休養」の6つの原則は、今年もチェックが必要とのことであった。スキーで特に求められる機能としては、「全身持久力」、「筋力」、「柔軟性」、「巧緻性」、「敏捷性」、「平衡性」の6つで、これらがジグソーパズルのように結びついて、スキーが出来ることになるとの説明があった。途中、両手の指を合わせて、1本ずつの指をクルクル回す動作が出来るかどうかなど、飽きさせない内容で講義は終了した。
(以上、中里広報委員)
◆竹腰専門委員 スキーのためのフィットネス

写真:講習会風景
ガーラ湯沢 田代氏と森本専門委員

写真:講習会風景
白馬五竜スキー場 佐藤氏

■協賛企業紹介
◆白馬五竜スキー場 佐藤氏 
 県連実技行事の五竜宿泊プランの紹介、リーゼン・マスターズ大会の紹介をされました。常宿利用の際は観光協会経由で各種割り引きが利用可能と紹介がありました。

◆ガーラ湯沢 田代氏(営業部事業課)
 3年前から始った有資格者のリフト券無料制度の紹介、皆川健太郎選手のキャンプの紹介、佐々木あきら選手がガーラ湯沢所属になったことの紹介をされました。スキー場HPは11月中旬にアップされると紹介がありました。

◆BOYA 
 受付にて、今シーズンモデルの各種製品を割引価格で販売中と紹介されました。

写真:講習会風景
和田専門委員

写真:講習会風景
加藤専門委員

◆スキー指導上の安全対策・スキーにおける傷害予防対策 担当 和田均専門委員
 講習会2日目午後の部のトップバッターは、安全対策委員会の和田先生でした。プロジェクターを活用した講演は、指導者の役割を特に安全面から考える内容でした。冒頭、「もっと人力を!」のスローガンは情報化された現代社会で急速に求められているヒューマニズムを想起させてくれました。指導者は、習う側の皆さんに理解してもらうことが重要であると言われていたように思います。一つは技術のみならずルールやマナーの取り扱うこと、もう一つはスノースポーツが自己責任下の活動であること。スキー傷害の実際では、腰部に多かった旧来のけがの傾向から、用具の変化によって膝への負担、けがが増加していることをデータを用い紹介されました。ビンデイングの調整は重要ですが、膝の傷害の防止のためのセーフテービンデングの開発はされていないことも指摘されました。指導者に求められる安全知識として、RICEの原則は重要ですが、スキー場においてはFICERの原則であり、実際は「固定して運ぶ」が肝要であるとのこと、さすがにパトロール経験豊富な先生の指摘だけに説得力を感じました。安全の問題はゲレンデのみに限るものでなく、宿泊を伴うことの多いスキーでは24時間体制が必要であることも指摘されました。まとめとして「楽しく安全に」とし、スキーはスポーツであり愉しくなければ、また、「スキー場を生かすも殺すも指導員次第」という先生の極論は、スキー指導の端っこに携わる我々にとって忘れてはいけない言葉であると感じた次第です。
◆和田専門委員 安全対策・傷害予防対策

◆指導の運営にあたって 担当 加藤専門委員
 約10年前の先生の準指受験時は、理論検定が実技検定の遥か前に行われていたこと、北海道での正指受験では、理論検定前日夜半3時まで学習したせいで、実技1種目目の急斜面小回り、ゴールでお手付きしてしまったことなど、ご自身の経験を紹介され、受験生の皆さんにエールを送ることからスタート。要するに、理論武装は雪が振る前に完璧にすべきというのが先生の指摘でした。本題に入ると早速、赤ペンとマーカーペンを要求し、新教程の具体的箇所を次々と確認して行きました。以下、その抜粋。P6の13行目「指導者の方々が・・・」、17行目「日本のスキー界において・・・」、p8の6行目「・・・」、「ここで何度も出てくる用語には要注意ですね」、p9の図、p10のフリチョフ・ナンセンと図、p12の表、p14の製品力など。先生は、以前はメーカーの作る製品を如何に使いこなすかが問われたけれども、これからは指導者がメーカーにどんどん自分の要望を提供し、相互のインタラクションから新しいものを創造することが必要と主張されていました。結びで引用した「顧客創造」は、現スキー界のおおきな課題であることは疑いの無い事実でしょう。
◆加藤専門委員 指導の運営にあたって(※)

写真:講習会風景
吉野専門委員

写真:講習会風景
小林(弘)専門委員

◆技術指導の展開 担当 吉野専門委員
 15分の休憩の後再開されたこの単元ではプロジェクターを活用し、新教程のp42〜p50
の要点が軽快なテンポで講演されました。
考慮する3つの観点毎のポイントを教程に沿って説明されました。発表で使用されたスライドはHPにアップされると聞いていますので、先生が強調されたポイントを幾つか。観点の1つめの体系で技術指導の段階は旧教程では基本基礎応用発展でしたが、新教程では基礎応用発展とまとめられました。ここでは何が応用か?、何が発展か?を整理しておくこと。3つめの安全指導では8項目は是非記憶しておくこと、特に学習時の指導者の位置についてはひとりづつ滑る時などはポイント。広報委員の当方もこの時分になると少し疲れて来ました。受講の皆さんに失礼と、頑張っていたのがちょうどこの頃です。
◆吉野専門委員 指導技術の展開 (※)

◆指導活動の構成について 担当 小林専門委員
 2日間に及ぶ養成講習会の最後の講議であり、そのことを先生も十分了解されている風情に、逆にその先生の気持ちに答えなければと言う雰囲気を会場全体に感じました。この単元は、「合格したら読んで下さい」と始められた先生。内容は新教程の第4章でした。ここでも、先生が強調されたポイントを幾つか。P122「3つの技術」、p113「良いスキー学習の基本的考え方を述べよ」、p114「基礎的条件と内容的条件」、p123「3つの指導計画」、p125?p127の図表要注意。スキー講習の場面で学習者に理解させる方法として、師範を示す、言葉による方法、視聴覚機器の利用がありますが、一番効果があるのは機器利用であるとの指摘がありました。先生がスキー学校に勤めていた時のエピソードには場内爆笑。先生も会場の皆さんも何とか最後まで遂行しようと言う雰囲気がありました。
(以上、江口 潤 広報委員)
◆小林専門委員 指導活動の構成について (※)

写真:講習会風景
江口広報委員(左)と守谷広報委員(右)

写真:講習会風景
真剣に受講風景

◆取材後の感想 (江口 潤 広報委員)
 このような作業(広報委員として県連行事の取材)を初めて担当いたしました。会場の皆さんの邪魔になってはいけない、画像はしっかり残さなくてはいけないなど、プレッシャーはありました。連休中日で天候も絶好の行楽日和にもかかわらず、真剣にペンを走らす受験生の皆さんの隣で、とても清清しい時間を過ごせたました。良い経験をさせて頂いたことに感謝いたします。また、会場の運営を担当されていた県連の役員の方も家族との行楽よりもこの行事を優先された方もいたと聞きます。このようなの尽力にも敬意を表します。最後に、今シーズン終りの吉報が全ての養成講習会参加者の手許に届くことを祈念しつつ、今回の取材原稿を閉じさせて頂きます。

写真:講習会風景
仕上がりはいかがでしょうか

写真:講習会風景
熱心な講義が続きます

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