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五竜T行事 理論研修(指導員研修会・クリニック)
レポート 広報委員会 大井智子

指導員検定についての説明

真剣に聞いていただきました

◆理論研修(指導員研修会・クリニック

2005年1月14日(金)〜16日(日) 五竜行事T
(財)全日本スキー連盟主催 (財)神奈川県スキー連盟主管/主催

◆三つの滑り

 10時過ぎに開会式が終わると、エスカルプラザでは引き続き、指導員研修会とクリニックの理論研修が始まった。

 最初に、教育本部セクレタリの上田英之SAK総務本部長・SAJ広報委員が、パソコンに接続したスライドを使いながら研修テーマについて解説する。テールコントロール、トップ&テールコントロール、トップコントロールそれぞれの滑りにおいて、「抜重・回旋」「荷重・角付け」の行われるタイミングと量はどう違うのかが示される。

 「テールコントロールに比べて、トップ&テールコントロールでは『抜重・回旋』が少なくなり、その分『荷重・角付け』が行われ、ずれ幅の少ない滑りになる。トップコントロールではすべて『荷重・角付け』となり、エッジが立ってきて、その角度によってターン弧が変わってくる。三つの滑りの違いを理解してほしい」(上田総務本部長)。

 このあたりは、11月13日(土)に川崎市教育文化会館で行われた指導員研修会でも講演された。『指導員研修会資料』の14ページの図5に表記されているので参考にしてほしい。それにしても、上田さんのパソコン技術はすごい。ぱっぱと参考になる場面のスライドを出してくれるので、ずいぶんわかりやすいなと、一指導員として実感する。

スライド、DVDと進歩しています

2軸の伝道師 山田委員長

◆トップアスリートが導入する2軸理論

 10時20分。続けて、山田隆SAJ教育本部広報委員会委員長から、次のような解説があった。

 「世界で戦うゴルフ、野球、ハンマー投げ、卓球の一流選手はすべて、かつての1軸理論から2軸理論へと移行している。ハンマー投げの室伏選手は、昨年春から米国のコーチについて2軸理論で練習し、30〜40cm飛距離が延びた。80mの飛距離の中ではわずか0.5%の違いだが、世界の中では大きな差だ。GS、SLでも例えば0.5秒の差は、確実にメダルの色が変わるはず」。

 「だからといって、1軸の滑りを否定するものではない。2軸は便利で楽しく滑れる、ということだ。2軸ができないからいい先生じゃない、というわけではない。膝を内側にしめて、脇を固め、ひねり戻して板を回して滑るという、我々のつちかってきた1軸とは、まったく違う板に乗っていることを理解してほしい。1軸と2軸には違いがあるとわかった上で雪上に立ち、どう対処するかはみんなで考えてほしい」。

「ナンバ」「古武道」に反響があります

「ナンバ」はエネルギーロスが少ない

◆「ナンバ」「古武道」「内側股関節たたみこみ」

 続けて「ナンバ走り」「古武道」「嶺村聖佳」のDVDが上映された。

 「今シーズンはみんなに課題を提供し、来シーズンはそれらの枝葉について話したいと思っている。『ナンバ』とは、日本古来からの体の使い方だ。明治時代以前、着物が着崩れしないようにと、『ねじらず』『うねらず』『ふんばらない』体の使い方が一般的に行われていた。肩のラインと腰のラインを平行にして動くので、エネルギーロスが少なくて済む。初動の『俊敏性』『瞬発性』『持続性』『正確性』にたけた動きだ」(山田SAJ広報委員長)。

 山田SAJ広報委員長によれば、昔はスポーツという概念はなく、庶民はクワを持って、右足を出して右手を出して、作業のために体を動かしていた。江戸時代の庶民は走れなかったので、「西南の役」では薩摩兵にどんどん切られたそうだ。驚きだ。

 続く、「古武道」DVDによれば、現代の、ねじる動きはパワーが出るが、準備段階に時間がかかる。そうした、一つの支点を中心にした動きは止められやすいが、『井桁くずし』(井桁が変形して平行四辺形になる)の動きは、気配がなく唐突に変化できるので、止められにくいという。

 さらに、DVDで「嶺村聖佳」の滑りが披露された。内股関節をたたんで、外股関節を伸展させた小回りは、とても真似できそうにない。「腰を出して筋力で引っ張っていく『ヒップファースト』の動きではなく、外向傾のない『ショルダーファースト』の動きができれば、外力という落下エネルギーを利用して、いくつになってもうまいスキーができるかもしれない。そうした、大きな課題があることを理解してもらって、あとは雪上で悩んでほしい」(山田SAJ広報委員長)。

「古武術」の動きに大きなヒントが

嶺村聖佳のすべりの比較

◆スポーツ界は一つ……

 五竜行事では、DVDを用いた理論研修は、スノーボード指導員研修会とスキー技術強化合宿を加えて計3回行われた。こうして理論研修は11時10分に終了した。あとはおのおの自己研鑚し、午後は13時に各班ゲレンデに集合となる。

 実は、五竜研修から戻り、いつも泳いでいる水泳チームの練習会に昨日参加したところ、コーチが「じゃあ、クロールでの入水位置を普段の場所より、外側に入れてみて。これが2軸の泳ぎだよ」と言うので、驚いた。さっそく興奮して、「水泳界でも2軸理論は始まってるのですか?!速いんですか?楽なんですか???」と詰め寄ったところ、まだ実践段階には至っておらず、2軸が速いか、効率がいいかの検証はこれからだそうだ。なんでも、水泳指導法を研究する研修会で、そうした動きがトライアルに導入されているらしい。ううむ……。自分もアスリート界のひと隅に身を置いていることを、実感した。

 なお、指導員研修会の受講生の方から「ナンバや古武道のDVDをSAKのHPからダウンロードできたらうれしいのですが」というご意見がありましたが、著作権の関係でそれはできないため、ご興味のある方はDVDを購入していただければと思います。SAK広報委員のホープ、富川貴幸さんの車山行事Tのレポートにも、理論研修に詳しく触れていますので、よろしかったらご参考にしてください。


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