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車山行事T
富川貴幸 広報委員レポート


スキー場の努力でコースが確保

古郡敬一 副会長

◆指導員研修会(車山T)レポート …… 富川 貴幸 広報委員

 2005年度(財)神奈川県スキー連盟の雪上行事(指導員研修会&検定員クリニック)が車山高原スキー場に約500名が参加して、スタートしました。取材する私も、初めての研修会&初レポートということもあり、少し緊張気味でのレポートをお届けします。

1日目(12月11日)

◆役員・講師ミーティング(6:30〜)

 片専務理事より、雪の少ない環境の中での研修会であるが安全に気をつけてほしい。また、上田総務本部長より、受講される方々はお客様であり、連盟方針の「なごやかでさわやか」になっていただくよう講師の対応をお願いしたい。とのコメントがあり、そのあとタイムスケジュールの確認が行われた。

開会式(9:30〜)

◆主管県連責任者挨拶 … 古郡 敬一SAK副会長

 雪が少ない環境の中、滑れるバーンを作っていただいた車山高原スキー場の関係者の皆様に御礼申し上げます。また、雪の少ない中、このように多くの指導員の先生方に集まっていただき感謝しています。シーズンの第1回目となる行事を意義のある行事としていただきたい。4月初めまでいろいろな行事が続きますが皆様方にとって、より良い・より楽しいシーズンとなるようにしてください。

◆地元代表挨拶 … 信州総合観光開発梶@代表取締役 飯島清重様

 今年は夏場以降台風の襲来や中越地震が起こるなど異常気象が続いています。皆様を迎えるにあたってスキー場としても準備をしてきたが、リフト1本しか動かせないということとなり大勢の皆様方に満足していただけないことに申し訳なく思っています。指導員の皆様方にはスキー人口減少の中で、頑張っていただきスキー人口を増やしていただきたい。2日間の研修会では怪我のないように研修していただきたいと思います。


山田隆 SAJ立会い責任者

片忠夫 専務理事

◆SAJ立会責任者挨拶 … 山田 隆 SAJ教育本部 広報委員会委員長

 せっかく多くの皆様に集まっていただいたのに雪が無いようであるが、最近、全日本スキー連盟はスキーをすることだけでなく周囲の山の名前を覚えるように等の転換をしてきている。本日もし雪がなかった場合は霧が峰のトレッキングも考えていた。スキー連盟の理論も色々新しいものが出ているがこのあと時間があれば話をしたい。雪の無い中どうやってみんなで楽しめるかを考えるのも指導者の使命ではないかと考えている。是非、雪の無いときの楽しみ方を考えてほしい。

 SAJでは会長の堤義明さんが退任され、後任に伊藤義郎さんが新しい会長に就任されたので、是非、顔を覚えてほしい。また、新潟の中越地震での義援金を募っているので是非協力していただきたい。SAJキャラクターも出来たのでお見知りおき願いたい。

◆執行責任者挨拶 … 片 忠夫 SAK専務理事

 絶好のテニス日和、ゴルフ日和になってしまい、大変厳しい環境の中で運営をせざるを得ないことに心苦しく思っている。そのような中で車山高原スキー場の皆様には、これだけの雪を付けていただいてこの時期にこれだけ滑れるというのは大変な喜びである。東京都連が350名、神奈川県連が470名ほどで同時に滑ることが出来ないことから交代しながら滑るということになり、神奈川は午後からということになる。私も今朝2本程滑ったが状況は良くない。安全確保についてはよろしくお願いしたい。神奈川県連も体制が変更になり、また登録も順調に進んでいることにお礼を申し上げたい。なごやかでさわやかな運営をしたいと思っているがそれは皆さんにとってなごやかでさわやかでなければならない。2月のドラゴンバレー『冬のソナタツアー』もまだ空席があるのでよろしくお願いしたい。


多くの先生に参加いただきました

柳橋泰久 主任講師

◆主任講師挨拶 … 柳橋 泰久 SAJイグザミナー委員会委員

 雪の状態はあまりよくなく、先週と変わっていない。先週は南関東ブロック研修会を行い講師は本日のために研修してきている。理論の研修を受けたと思いますが、雪上では理論のようにはうまくはいかないと思っている。全日本で打ち出している2軸理論を是非体感していただくことが大切である。今まで中心軸で滑ってきた人がいきなり2軸で滑ってもなかなかうまくはいかないと思うので今回は講師の人たちと一緒に体感してもらい、今後のスキーに生かしてもらいたい。時間がなくて雪が少ないので十分な研修をするのが難しいと思うが、いかに楽しんでスキーをするかというのが大切なので楽しんで怪我の無いようにスキーをしていただきたい。

◆指導員会挨拶 島村副幹事長

新生指導員会として20年を迎えることが出来た。20年をむかえるにあたって各種行事を企画しているので是非参加していただきたい。特に共催行事であるドラゴンバレースキーツアーについてはよろしく参加をお願いしたい。


理論研修 2軸理論について

研修風景 みなさん真剣です

理論研修(10:00〜)

◆山田 隆 SAJ教育本部 広報委員会委員長

 理論研修を始めますが、先日川崎で講演して頂いた市野先生の話と同じ話をします。何故同じ話をするのかというと何度も聞いていただきたいからです。特にご参加していただいている皆さん以上に講師をする専門委員に聞いてもらいたい。もっと聞いてもらいたいのはSAKの理事の皆さんです。それから、SAJイグザミナー委員である柳橋さんにも聞いてもらいたい。

◆2軸を毛嫌いしないで理解してほしい

 何故かというと、去年から2軸という理論で話をしてきているが、私も40年間1軸のスキーをやってきている。ここで皆さんの講師をする専門委員も長い間1軸のスキーをやってきている。残念なことに、今言っている2軸の理論は1軸の延長線上にあるのではない。その面で皆さんと専門委員は同じスタートラインで2軸を勉強してもらわなければならない。私はこの1年間、2軸の伝道師をしているが実はゲレンデで2軸で滑ったことが無い。でも、2軸という理論は明らかにある。2軸を毛嫌いしないで、今までやってきたスキーは1軸で、2軸はどういうことなのかを理解してもらいたい。

◆2軸の理論は初心者ほど受け入れやすい

 2軸の理論ですぐ出来るかというとまだまだ厳しいと思う。逆にスキーの積み重ねが短い人ほど受け入れやすい。2軸の理論は初心者ほど簡単な理論であると思う。現在、全日本の仕事でホームページを作成しているが、評論家の志賀仁さんに回顧録を書いてもらっている。その中で、どういうスキーの教え方をしたらよいのかという質問をしたところ、『きちっとした板と靴を買ってきて先生に習わないでゲレンデに行けばそれが一番うまくなる。今の板はそれくらい良く出来ている。』昔のように指導員の言ったとおりやれというのではなく、生徒にどうしたらうまくなるのだろう、なぜこうやれば曲がれるのかという、生徒に何故?という疑問を持ってもらってその疑問を探求していくような教え方をするのが大切であると思う。皆さんにも何故という気持ちを持っていただきたい。まず、オフィシャルブックのDVDを見ていただき、その次に2軸の基となっている『ナンバ』という技術のDVDを見ていただきます。(DVD放映)

◆1軸の延長に2軸はない

 DVDを見ていただきましたが、まず覚えていただきたいことは、今日見ていただいたものも実はSAJ内でも2つの意見に分かれている。それは1軸と2軸は別々なものであるという意見と1軸の延長線上に2軸があるという意見である。出来上がったDVDも2つの考えが入っている。古い考えの人はどうしてもプルークボーゲンとシュテムターンを入れたがっている。シュテムという技術については、1968年のアスペンのインタースキーの時にシュテムをやめようと決まったが、日本の国内事情があり、シュテムが無くなったという報告をしていなかった事実がある。それ以来、SAJはシュテムを重要な技術の柱として指導してきている。でも、今のカービングの板ではシュテムは必要ない。知らないのは日本の指導者だけで世界では30年前になくなっていることを頭の中に入れておいていただきたい。

 オフィシャルブックに書いてある『スキーの壁』とは何かを市野先生に質問したところ『理論で理解出来たことを実践では出来ない』という意味で書いているので気にしなくて良いとのこと。

◆スポーツ界の変化、2軸は簡単で合理的

 最近のスポーツ界は非常に変化してきている。その一例が宮里藍の活躍している女子ゴルフ界で、いまや男子よりも人気がある。新しいテクノロジーで作られた道具で新しい技術でプレーしてまったく昔の技術を持っていない選手が、19歳で1億円を稼いでしまう。福島晃子という一世を風靡した選手がまったく勝てなくなって3年間休んで新しい技術を習得しようとしている。
 1軸で覚えたものを2軸に変えるというのは難しい。私たちも実際にスキーをすると長い間培った1軸の体の動きになってくる。それを否定するのではないが、2軸というのはもっと簡単で合理的であるということを言っている。
  野球やゴルフでも、現在はひじを開いて、ひざを開いた蟹股のスタイルである。昔、われわれはひじを締めてひざを締めて軸を一本にして遠心力を大きく作って飛ばすことを習った。ハンマー投げの室伏選手も長年、出来るだけ早く遠心力で回して遠くに飛ばすという技術でやってきたが、アメリカに渡り2軸で投げるという技術を習得した。彼が2軸に変えた結果伸びた距離はたった30cmである。たった30cmの記録を伸ばすために3年も苦労して2軸のスポーツ理論に体が動くようにしようとしている。われわれは永遠のテーマであって生涯かけてやってきたが、結局わからなかったというのが普通だと思う。


「ナンバ」って?

2軸の伝道師!

◆カービングの板は2軸の理論が効果的

 2軸という確実に今までのわれわれがやってきた1軸と違う理論があるのは理解してほしい。新しいカービングの板は2軸の理論で滑ったほうがより滑りやすいことだけを理解していただければ今の段階ではそれでよいと思う。2軸であると肩の傾きや体のひねりは必要ない。体をひねらないほうが簡単に力が伝わる。それを運動に変えると非常に難しくなってくる。

◆もっと楽に滑れるのが2軸の理論

 このあとナンバについてのDVDを見ていただきますが、日本は昔、ナンバ歩きナンバ走りであった。(右足が前に出るときに右肩が前に出る)このような歩き方、走り方が主流であった。今では違和感を感じるが2軸のほうが疲労感が少ない。去年のテーマに頑張らないスキーというのがあったが理論的には今言っていることである。そういう考え方で2軸の理論があることを理解していただきたい。是非、これから教えるときに我々の凝り固まった1軸の理論で教えるのではなく、もっと楽に滑れる2軸の理論であるということを伝えてほしい。特に何も積み重ねていない初心者の人には今の道具にとっては無駄な動きを教えるのではなく、2軸の滑り方があるということを伝えてほしい。我々が思っている以上にスキーの道具が進歩してしまった。その進歩を理解していただいた上でナンバのDVDを見てほしい。
(「ナンバ走り−気づきのスポーツ学−」人間考学研究所 DVD放映)

◆2軸の理論は内足主導

 自然界にいる動物の多くは2軸で内足主導で走っている。内足をうまく畳み込んでコーナーを回っている。我々が言っている2軸の理論においてもスキーは常に内足主導で行ったほうが効率が良い(言っている私が出来ないが)それは荷重が谷足に乗っていても内足で引張っていったほうが良い。多分やっても実践は難しいと思いますが2軸理論がどのようなものかは理解していただけたでしょうか。経験の深い先生方でしょうから皆さん十分にご理解いただけたと思います。でもきっと出来ないであろうと確信していますが、是非、頭においてこれからこういうふうに変わってくる、スキーのみでなくて、平面で行われるスポーツはこれからは全て2軸に移ってくることをご理解ください。


「ナンバ」って?

楽しそうな実技研修です

◆検定についてのレクチャー … 柳橋 泰久 SAJイグザミナー委員会委員

(『受験者のために』DVD放映)

 今見ていただいたDVDは、指導員・準指導員検定会の標準的な滑りになる。このDVDを参考にして研修し、受検に望んでいただきたい。先シーズンから正指受検は単位制の導入が行われた。単位の未取得者には取れなかった単位の受検となるがその人達を一班に集めて専門の検定員が付いてその班だけ別に行動する形での受検となる。学科については、模擬問題集がSAJのホームページに掲載される予定である。その中から50%くらい出題される予定であるので、是非SAJのホームページをチェックしていただきたい。特に最近は受検者数が減少している。神奈川県連でも準指導員の受験者数が今年度は150名弱で、前年から40名程減少しているのでなるべく多くの方に受検していただいて準指導員を取っていただけるようにご指導していただきたい。そのことが神奈川県スキー連盟の活性化につながるのでよろしくお願いしたい。指導員の人数も減少している。若い人達がスキーをするというのが減っているので2軸運動の技術が広まっていけば若い人達も取り組みやすいのではないかと思うので是非クラブでも若い人達に浸透させていただいて活性化させていただきたい。

模擬問題集がSAJ教育本部のホームページに掲載されています

 

◆実技研修(研修班;13:00〜、クリニック班;13:15〜)

  実技研修は研修班とクリニック班の集合時間をずらして行われました。人数が多いため集合場所で2軸運動技術を歩行して研修している班もありました。各班共2軸の実技を行っていましたが、斜面が荒れていたため結構苦戦していたようでした。

   実技研修の感想としては

  • 実技での2軸の理解が難しい。スピードコントロールが出来ない。
  • 初滑りでスキーに乗れていないが少し曲がりやすい感じがした。
  • 広いバーンで大回りでやってみたかった。
  • 何となくわかったのかなー?という感じ。普段の滑りで出来るか?
  • 内足の股関節をたたむことにより外足がついてくることがわかった。
  • スピードが出ているときには曲がりやすいが低速のプルークでは難しい。
  • 理論研修ではわかっていたが実際にやってみると難しい。

等のコメントがありました。


クリニック模擬検定中 演技は

いまの滑りは…

2日目(12/12)

◆実技研修(研修班)、クリニック(クリニック班)(9:00〜)

 2日目も1日目に引き続いて雪上での研修会となりました。クリニック班は模擬検定での目合わせを行いました。(種目;プルークボーゲン、シュテムターン、プルークターン)

閉会式(10:30〜)

◆主管県連責任者挨拶 … 古郡 敬一SAK副会長

 非常に条件の悪い中で2日間の研修会ご苦労様でした。またこれだけの雪を作っていただいた車山高原スキー場関係の方にはお礼を申し上げたい。満足できるまでのスキーは出来なかったと思いますが何か皆さんの得るところがあって今シーズンのスキーに生かせていただければよいと思っている。怪我のないよう楽しいスキーの普及のためにご協力をお願いしたい。

◆地元代表挨拶 … 信州総合観光開発梶@代表取締役 飯島清重様

 2日間にわたって大変お疲れ様でした。条件の悪い中いろいろ不満があったと思います。開催にあたって各役員の方にはスケジュールの調整、時間の調整等ご心労、ご心配をかけましてお詫び申し上げたい。2日間やっていただいた内容を地元に戻って、右肩下がりのスキー人口を増やしていただくようにお願いしたい。

◆運営責任者挨拶 … 上田 英之SAK総務本部長

 雪上行事では最初で最大行事となりますが、皆様のご協力で無事運営できたことを感謝したい。引き続き今週には北海道行事及び野辺山でのチャレンジカップ第1戦がある。チャレンジカップ第1戦については東日本三菱キャタピラー建機販売鰍ウんから、大会の冠ということで協賛していただいている。これは、TOEELカップに続いて、2つ目の冠大会ということになる。スノースポーツを振興させる公益法人として、今後ますます皆さんや協賛企業の協力を頂きながら運営をしていきたいので、ぜひご理解とご協力をお願いしたい。また、2月初めの韓国行事『冬ソナスキーツアー』についても是非ご参加いただきたい。

◆主任講師講評 … 柳橋 泰久 SAJイグザミナー委員会委員

 悪い条件の中だったが皆さんのヒントになれば良いと思っている。今回のテーマを雪上でやるのは良いがいつも同じテーマではなく各個人の考えと今回実施した内容をしっかり噛み砕いて生徒に教えていただく様お願いします。


なごやかでさわやかな女性班♪

研修の成果はどうでしたか

★取材した感想

   初めての研修会、取材ということで多少の不安はありましたが、県連の役員の方々をはじめ、各専門委員の方々のご協力により無事に取材をすることができました。特に初の試みである女性班は今年のテーマである『なごやかでさわやかなスキー』を象徴しており、講師と受講する方々が和気あいあいとしていてとても楽しそうでした。一方実技においてはやはり2軸は難しかった印象があります。今後、実技での2軸はどこまで理解出来るかわかりませんが、自分なりに理解し、表現できるように努力したいと思います。最後に、徳本さん、中里さん、取材に協力して頂きありがとうございました。そして、今回大活躍のO専門員お疲れ様でした。

2004年12月16日  取材担当:富川 貴幸


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