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平成17年度指導員養成講習会2
広報委員会 江口潤

新潟中越地震義援金ありがとう
理論講習も2日目、真剣です

◆義援金が15,592円ありがとうございます

 平成17年度指導員検定養成講習会第2日が、11月14日(日)10:00より、かながわ労働プラザにて開催されました。天候は薄曇り、参加者は準指受験者が109名、正指受験が38名でした。今養成講習会に於きましても、「新潟中越地震支援金募金箱」が設けられの15592円の暖かい支援金が集まりました。有難うございました。 阿久津専門委員の司会で養成講習会2日目がスタートしました。

渡辺三郎教育本部長
受付風景 教材は揃いましたか?

◆渡辺教育本部長 「受検対策」

冒頭に、渡辺三郎教育本部長の挨拶がありました。「例年200人以上の受験者を維持してきた県連の準指導員検定会が、昨年は30人ほど減少し、189名の受験でした。今年もその傾向が続くことが懸念されています。対策として、理論については補講など受験しやすい体制作りに取り組んでいます。 さて、具体的な受験対策ですが、実技におきましては、SAJビデオなど、特に昨年はワンパターンの印象があり、プルークターンやシュテムターンなどでそのことが顕著でした。スキー技術は、本来多様であり、ワンパターンの完成形を求めすぎることのないよう注意していただきたい。冊子「受験のために」を熟読し、十分理解したうえで受験することを期待しています。」 

向井専門委員
司会は阿久津専門員(SAK理事)

◆向井専門委員 「スキー技術の構成」

午前の講議トップバッターは向井専門委員。「スキー技術の構成」が主なテーマでした。教程パート2に相当。「教程に沿って、スキー技術の特性、スキー技術の構造と過程、ターン運動の原因、角付け、遠心力のある場合無い場合、種目の練習について、トップコントロール及びトップアンドテールコントロールなどのポイントを説明。P24とP28の3コマ写真を見比べると理解できるように、技術論として両スキー主導、内スキー主導、外スキー主導と内傾外傾、内向外向と関係性の理解は重要。角付けの定義として、水平面への角付けと斜面への角付けを区別して理解することが大切。無理やりスキーを動かそうとせず、原因となる動きの結果、ターンが生まれる滑りが重要で、それを踏まえて種目の練習に取り組んでください。胸のライン、腰のライン、肩のラインの視点も重要。道具の変化でシュテム動作やジャンプ動作、抜重して回旋することの必要性が減じてきているが、指導者として、カービングスキーで実技できることは大切。楽しいスキーを伝えていただきたい、スキーヤーを増やす、リピーターを増やす、これが出来るのが良い指導者ではないでしょうか。」

佐々木専門委員
佐藤専門委員

◆佐々木専門委員 「技術指導の内容」

 続いて佐々木専門委員。「技術指導の内容」が主なテーマでした。教程パート3に相当。「活字での理解は難しいので・・・絵(滑走写真)を見ながら言葉(技術用語)とともに覚えていくことをお勧めします。技術指導は、さまざまな条件や状況の変化に対応していかなければならない。ゲレンデ状況の把握の上で、技術指導を段階的に行うことが重要です。応用過程ではP82以降の滑走写真が大変参考になります。指導の要点「一般のスキーイングは・・・スピードとターン弧の調節・・・(P97)」など具体的な箇所を指摘。補助的なプログラムの項では、制限のあるところ、たとえば、ポールなどにも積極的に入ることをお勧めします。ある時期は、形から入り、形主導でよかったのですが、(壁に)ぶつかってしまった。技術指導について、短期的計画・長期的計画(中期的計画)の中で、学習者に何を用意するか、頭の中でシュミレーションして見てください。また、指導の違いについての判断力を身につけてください。リフトに乗りながら滑走者を眺めているとアイデアが浮かぶこともあります。雪上で気軽に気楽に質問してください。」 

講義録


◆佐藤専門委員 「スキー学習の構造」

 午前最後は佐藤専門委員。「スキー学習の構造」が主なテーマで、自前のA4レジュメがありました。教程パート4に相当。「インストラクションサービスの位置付けをスキー産業やサービス産業の枠組みで解説。重要なのは、生涯スキーヤーへ誘うこと、そのために必要な技術として、マネジメント技術、人間関係技術、指導技術を上げた。良いスキー学習の構造を考えるとき、基本的な考え方、指導のあり方、目標と学習内容、学習の構造の理解が重要である。学習者がスキーを好きになるように、肯定的な働きかけが大切である。昨年の試験では、「良いスキー学習を実現するための基礎的条件を5つ」が出題された。要注意箇所。人の短所欠点は比較的見つけやすいが、長所を見つけ出すことは難しい作業かもしれない。スキー学習の指導では、権威に頼った指導ではなく、長所をより指摘しながら短所を改善していくようにすべきだ。スキーは楽しくあるべきで、楽しくするために何が必要かを考える必要性がここに示唆されていると思います。」

スキー学習の構造


 ◆協賛各種企業挨拶

午後の講議の前に、山田副会長のご挨拶と協賛各企業様の紹介がありました。「理論講習2日目の午後ともなると、随分お疲れのことと思います。受験をされる皆さんは、すでに仲間であります。昨今、受験者の減少が指摘されています。今年は補講制度も充実させました。お近くの受験予備群の皆さんに是非受験を進めて頂きたい。どうぞ頑張ってください。」 上田総務部長の紹介もありましたが、遠慮深い上田さんは起立され、笑顔提供のみの挨拶でした。 「ボーヤ、小賀坂スキー、富士見パノラマスキー場、シティフェイス、ガーラスキー場の紹介が行われた。検定はボーヤのウエアー、小賀坂スキーで、富士見パノラマとガーラで特訓、アクセスはシティフェイスに発注すれば、試験合格ーーー間違いーーーない! ?」 

和田専門委員
大嶋専門委員

◆和田専門委員 「スキー実施上の安全対策」

 午後の講議の先頭は、和田専門委員。「スキー実施上の安全対策」が主なテーマでした。パワーポイントを使用し視覚的に理解しやすい内容でした。「今回スキーの安全が改定されました。スキー場はテーマパークではない。相手は自然である。自分の身は自分で守る。指導者として1:29:300を理解されたし。「ひやりとした」こと300回の内、29回はけがにつながり、その内1回は受傷することを意味する。安全会が公開している統計を見ると傾向がわかります。フリースタイルスノーボードのプレー中の事故やけがが最も多いというのは常識になりました。用具選びについて、スキーヤーが選べる安全、選べない安全がある。SBBシステムが普及し、販売店の責任で止め具の調整が行われることが一般化した。講習中、学習者の止め具を善意で調整し直したとして、その後事故・けがなど発生した時は、調整したことに過失責任が問われることがあることを理解しましょう。スキーヤーに求められるマナーと安全について、従来のSAJ10則は若干語彙が変化したこと、スキーヤーの滑走心得が示されたことが目新しい。指導中の安全管理において、たとえば、指導者が学習者の前でかっこよく滑ってしまったとすれば、それは、・・・指導者失格であろう。学習者の目標値ですべること、それは、必ずしもパーフェクトな滑りではないのではないだろうか。注意事項は何度も繰り返す。文章にしておく位が丁度いい。訴訟に至ると、「言ったか言わなかったか」が良く問題になります。冬山の気象の理解は重要です。気象と安全では、天気は急変する、ルート喪失、滑落、雪庇、ツリーホール、クラック、落石、雪崩などがキーワード。スキー場における標識の知識も重要です。日本中で統一です。スキー傷害の実態について、1/1000、自己転倒、死亡事故が10シーズンで185名、神奈川では0。傷害保険加入率が非常に低い現実がある。増える傾向もない。スキー救急法については、原則の自分自身の安全の確保ほか守らなければならない事項を整理してください。言動には十分な配慮を。「大丈夫だ」と簡単に言わないで十分な対応をして「必ず医師の診断を受けてください」は重要な一言。パトロールでも昨今は、「大丈夫ですか(観察の重要性)」、「触ってもいいですか(むやみに状態状況を変えない)」は必ず配慮しています。現場への侵入の制限など周辺への配慮は重要です。救急車はスキー場には入れません。携帯電話は普及し便利ではありますが、いきなり110番ではなく、「パトロール」、「行事の本部」、「リーダーへの連絡」を優先しましょう。試験はこのスライドの中から出題します。頑張ってください。」 

スキーの安全対策パワーポイント


◆大島専門委員 「スキー指導の展開における指導者の役割」

続いて、大島専門委員。「スキー指導の展開における指導者の役割」が主なテーマでした。教程パート4に相当。「計画段階による指導者の役割として、学習者の把握、目標の明確化、興味関心に則した内容設定、有効な学習指導過程、学習形態の計画、評価方法が話題に。学習者の把握については、学ぶ側が主人公であること、一人ひとりの個性(目的意識、体力要因、運動経験、装備・用品などの違い)を尊重することが重要です。目標の設定では、スパイラルな学習過程で進め、ひとつの単元が未完成でも状況を考慮しながら新しい課題に取り組んでみる。学習指導過程での「できない」から「できる」、「できる」から「うまくなる」、「うまくなる」から「つよくなる」の様相は重要で出題しやすい部分です。スキー指導の計画では、行き当たりばったりの(計画性のない)指導を避け、長期的な指導の計画策定が重要である。」 

講義録

小浅専門委員
取材中の江口広報委員

◆小浅専門委員 「スキーの歴史」

 午後の最後は、小浅専門委員。「スキーの歴史」が主なテーマでした。 パワーポイントで理解しやすい講義でした。「スキーの歴史は、新刊「スキーへの誘い」に沿って学習してください。スキーの歴史的発展、スキーの技術発展史について、年号とその時事について時系列に説明。スキーのルーツが生活の道具であったこと、スポーツとしてのスキーが19世紀に進み、ツダルスキーなど道具と滑走術の開発などのアルペンスキーの歴史、1911年のレルヒ少佐が陸軍にスキー術を伝えたことに始まる日本の近代スキーの始まり、高速滑走を求める技術研究の結果パラレル技術が完成し、その後、外傾技術論とローテーション技術論の論争の終結、1951年第1回インタースキーの開催、社会の変化とスキーの多様化の中で、1979年蔵王大会、1995年野沢温泉大会を通して日本が世界のスキー界での地位を確立したなどの流れを説明。」 

スキーの歴史
スキーの歴史パワーポイント


◆取材雑感

 講師を努められた専門委員の先生、2日間の講習会参加の皆さん、諸運営の専門委員の皆様、お疲れ様でした。渡辺教育本部長、山田副会長のご発言にもあったように、準指導員検定受験者が減少しています。他種目でも、例えば、柔道の昇段試験で受験者が激減しているそうです。その背景には、「20才台のスポーツ楽しみ派の増加」があるように感じています。最近は、歩くスキーなどオフピステなど自然の中で、気軽に楽しむことのできるスポーツに人気がシフトしている様です。厳しいとか苦しいを避け、楽しいが主流です。そう言えば、今回の養成講習会も20才代と思しき受験者をあまり見かけなかった気がします。楽しいために厳しいや苦しいがあるという本来のスポーツの姿を再確認しなければならないのかもしれません。ともあれ、受験の皆さんがこの春、無事有資格者となり、現状解決へ参画されますことを、切に祈念しつつ報告を閉じさせて頂きます。


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