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競技本部セミナー (競技運営管理)
 
総務本部・広報委員  守谷 紀幸

古郡副会長

セミナー参加者の皆さん

◆競技本部セミナー(競技運営管理)開催される

時:平成17年11月12日(土)10:00〜15:00
場所:神奈川県社会福祉会館4階第3研修室

◆あいさつ(古郡敬一副会長)

 日頃、競技本部の事業にご協力いただきましてありがとうございます。

 本日は、SAJのアルペン部門において、国内外でご活躍されている中村氏の講演ということで、意義深いお話をたくさん聞けるものと今から大変期待をしています。

 皆さんも、このセミナーの成果を生かし、連盟の競技部門がますます発展しますようご協力をお願いします。


真剣に聞き入る参加者

中村実彦氏

◆講演(「TD業務について」)

SAJアルペン技術運営委員会副委員長 中村実彦(なかむらみちひこ) 氏

    FISユース&チルドレン問題委員他
     FIS公認アルペン技術代表(TD)

【はじめに】

 中村講師は、いい兄貴分というような感じで、SAJの技術運営委員会副委員長などの肩書きを全く意識させないフレンドリーな雰囲気の方でした。講演は、ルールはなぜあるのかという、ごく基本的というか根本的なところから始まりました。その心は、当たり前といえばそうなのですが、公正な競技環境の維持と参加選手の安全の確保を目的とするもので、制裁を目的としたものではありませんということでした。

【SAJの取り組み】

 SAJの取り組みとしては、ICR(国際競技ルール)2005の全面的翻訳(A5版バインダー方式)があります。これは近々、Webサイトで公開し、ダウンロードして各自が自由に持ち歩けることを考えています。さらに、ワールドカップ・ルール、コンチネンタルカップ・ルール、マティリアルのレギュレーションや運営マニュアルまで翻訳し、A5版化しています。さらに、これらについては、SAJホームページですでに公開しています(PDFファイル)。また、全競技の規則を翻訳する予定です。

【ルールの役割の内容】

 次に、ルール本来の役割を果たせるかという問題ですが、

1 使用用具の世界基準化
2 設定コースの世界基準化
3 安全、公正でスポーツライクな競技環境
4 必要に応じたルールの変更の研究

の4つの問題がありますが、1の用具の問題は、現在「なあなあ」状態で不明確になっているので、来シーズンに向けて改善していく考えだということでした。また、4のルールの変更の検討も、基本的に選手は何を目指しているのかを考えて、明確に「世界へ」という目標を掲げるのであれば、先ほどの用具の問題も含め勝つためには必要なことであると考えているとのことでした。

【ルール改正について】

 そこでルール改正の問題についてとなりますが、大きく分けてFISにおける改正の流れと国内ルールの改正の流れがあります。

まず、FISにおける改正の流れですが、

 ・大きな変更はオリンピックの開催年
  ・シーズン中に起きた問題→随時、FISは春・秋の会議

で行われます。今回の改正の主なものは次の2点です。

 ○SLの旗門数/方向転換が、55旗門から55ターン(方向転換)へ
  ○2本に分けて行われる競技の2本目のリバースは、30リバースが標準となった

  15リバースにする場合は、2本目1時間前に通告

 次に、国内ルールについてですが、即時対応はなかなか難しいのが現状です。しかし、それでは国外へ行って戦う選手の場合には不利になってしまいます。例えばスキーの長さについては、チルドレンズカテゴリからジュニアに上がる際の長さについて、オーストリアから検討すべきとの意見が上がっていますし、アジア民族の身長格差についてはマスターズでも同じことが言えると思います。また、スキー大国のスイスからも身長に比例した最短長の設定の声があがっているそうです。そういったなかで、事例研究(TDレポートなど)や医学的研究データで議論すべきだと考えているとのことでした。

【TDクイズ】

 続いて、TDクイズというクイズ形式のICRの学習コーナーです。そこで出されたクイズは、

(1)どのような場合ドローのやり直しをすべきか
(2)選手が使う競技用具の責任は
(3)ジュリー全員が召集できない即決できるのは
(4)旗門を外すか、追加してコースを変更する権利を持つ者は
(5)代理TDの任命
(6)スタート、フィニッシュゲートを旗門に入れるか
(7)DSQ(失格)に対する抗議は口頭で可能か
(8)SL「Go」から5秒でスタートしないとき
(9)FISレースで140人以上出られる場合は

という9つの問題で、ICRのどこに掲載されているかを示して、その条項の細かい解説を行いました。それだけ聞くと退屈そうですが、ユーモアたっぷりの解説で全然飽きさせないのは中村講師の話術の賜物でしょうか。(時々脱線してご自分の選手時代のエピソードなどもありましたが・・・)

【事例研究】

今度は、実際にあったケースから事例研究に入りました。本来ならここに時間を割いて、グループ討議、発表会などを行って1週間くらいの研修になるのだそうですが、そこはさらりとビデオなども交えて解説していただきました。

(1)旗門の破損

 ポールが折れてコース上に入ってしまった場合、ビデオなどで確認をするが、暫定的に再レース認めるのが現実的処理だろう。再レースでは、いつ滑れるかが問題になるが、スタートについて準備ができ次第スタートできる。

(2)スタートの妨害行為

 スタート時間にいない場合は、制裁が加えられる。ただし、スタート審判が「不可抗力」による遅れであると判断した場合は、遅延スタートを許可することができる。用具の故障や選手の病気は「不可抗力」にはならない。

 スポーツマンらしからぬ振る舞いは、制裁の対象となる。

(3)2本目スタート順

 FIS競技では、同期された2系統の計時システムを使用する。最終リザルトはメインシステムのデータでなければいけないが、それに不備があるときは所定の手順に従ってバックアップシステムによる計算タイムを使用する。

 同期はレース前1時間からスイッチを入れておきますが、それは水晶が温まるのに時間がかかるためだそうで、ひどいときは、2秒は違うといわれているそうです。それが分かったのは長野オリンピックの時だったとのことです。

(4)選手がスタートにいない

 スタート審判は、ジュリーと協議し、制裁等の決断をする。また、スタートを認められなかった選手、遅刻にもかかわらずスタートを認められた選手、暫定スタートを認められた選手を記録しなければならなりません。

 繰り返し中断するような場合は中止の決定をすべきです。また、1本で4時間以上の競技時間を要してはいけません。

(5)TDが来られない

  現地にいるジュリーの中から代理TDを指名する

(6)再レースの承認

 レース中に妨害を受けた選手は、妨害発生後直ちに停止し、ジュリーメンバーに再レースを申し出る。

(7)スキーを失った選手

  レースの遅延を避けるため暫定的に再レースを認める

  再レースを認める前に失格になったときは、その再レースは失効となる。

 フィニッシュラインは両方のスキー、片方のスキー、両足または用具のどこかが、計時システムをストップした時にタイムが計測される。

【メッセージ&クエスチョン】

 最後に中村講師からご自身が考えるスキースポーツに関するメッセージと問いかけがありました。

(1)立ち幅跳びができない、極端に体のバランスが悪いなど現代病と言われる子ども達が増えています。スポーツがそれらを補ってくれると考えています。

(2)目標は世界でもいいし、健康の維持でもいい。でも、誰でも世界を目指すことは平等に子ども達に実現できるような環境作りは我々の使命です。ルールを考え環境を整えることは、その出発点といえます。

(3)試合数を減らし、狙った大会に勝つことが必要で、いまは自分の技量を伸ばすトレーニングをする時間がない。(自分は、81年の妙高国体で43番スタートだったが6位に入賞した。それでも選手をやめたのは、周りに自分を磨いてくれる人がいないと感じたからで、事実成績はどんどん悪くなっていった。)全体のレベルは上がっていないと感じています。佐々木明選手や川端絵美選手は例外的な存在と思っています。子どもはきちんと守ってあげなければ伸びていかないのです。

(4)スピード系と技術系の根本的な違いは、リズム感のあるなしです。その日のコースをいきなり時速100kmで滑るのだから、スーパーGは最も難しい種目だと思っています。

(5)マスターズについて、東北のシリーズがポイント制になります。HPにもアップします。20数試合あって、優勝者にはワールドカップとほぼ同じクリスタルトロフィーが授与されます。ただし、ルールについてワールドカップと同じでよいか検討中です。

(6)チルドレン強化小委員会では、国際大会への出場も考えています。国内のいくつかの大会の成績を考慮してタレント(才能)を発掘したいと考えています。

(7)運営マニュアルには、SAJの考え方が載っている。皆さんの意見をいただいてさらに活性化していきたい。

【質疑応答】

 Q:スキーブーツの高さの制限は。

 A:ブーツのソールの厚さの制限である。

 Q:モチベーション低下防止のため、子ども達の試合回数をSAJで制限できないか。

 A:国際レースは2試合までになっている。国内ではチルドレンクラスのレースがなくなってしまった。全日本チルドレン選手権を考えたいと思っているが、これについての意見をメール等で寄せてほしい。県によっては、1人1部活と制限をするところもあり、地域性の問題もある。

    昔、上村愛子をアルペンで教えていたが、いじめのようなことがありアルペンを止めてしまった。その後、家族の都合でウィスラーに移ったときにモーグルに出会い、ビッグな選手に育っていった。才能を開花させるのは難しいし、運にも左右される。

 Q:長野のオリンピックコースを一般にも開放してほしい。

 A:そういった企画があれば、積極的に開放したい。サンテラスパノラマの裏側にトンネルを掘ってジャンプができるようにしたので、大会開催は可能である。スキージャーナルのSGS大会もそこを使う。ゆくゆくは、このコースで滑降をやりたいと考えている。


和田幸一SAJ専門委員

菊池競技本部長

◆タイミングセミナー(和田幸一SAJ公認アルペンスノーボード計算委員)

□ルール改正

 ・SL 55ターン(ICR)P.99旗門数とターン数

 ・TCミーティングで天候を発表すべき→ルール変更も可能(フリップ30になるので影響あり)

 ・FISスイッチバックは失格になりそう→2・3年後は国内も同様(ジュニアの大会までそうすることはないとの意見あり)

 ・タイミングレポート…ICR改正→HP版参照

□計算委員の役割

 ・計算委員には決定権はない→決定権はジュリーメンバーにある

 ・平等・正確にレースを行えること

 ・早くリザルトを作成すること

□タイミングブックレット→公認大会以上

 ・CT400かCT300を正と予備をA・B2系統用意する

 ・ジュリーミーティング前に計算委員が機器確認

 ・スタート A・B系2つの接点があり、ほんの少しではあるが時間的にずれがある→速く切った方が有利(県の大会レベルではA系統のみ)

 ・ゴール 光電管2系統(天候により発光・受光部を逆にセットする場合がある)

 ・リザルト 旗門数とターン数、天候、雪質(SNOW:HARDがほとんど)、FIS-HOMOROG.

No(FIS公認バーンの番号)

→SAJ:SL 99コース、GS 98コース、SGL 28コース

 ・タイミング機材 FISの公認ナンバーがある

□マスターズ

 ・SAJ:35歳以上

 ・FIS:30歳以上

□スノーボード

 ・1000ポイントが1番(アルペンは0ポイントが1番)

□用具のレギュレーション

 ・スキーの高さ50ミリ、ブーツヒールの高さ45ミリ(詳細はSAJのHP参照)

□その他

 ・ビブで統一(ゼッケンという言葉は使わない)

 ・北海道、長野はルールが厳しいが、神奈川はゆるいのでその認識はもっておいた方がいい

□質疑応答

 Q:タイミング機材のレース中の保守の責任は計算委員が負うのか。

 A:そのとおりだが、現行ではスキー場の管理下にある。

Q:マスターズのスキー長は変更ないか。

A:FIS SGSは男子185cm、女子180cm、GS 男子185cm、女子180cm許容差−5cm、SLは男子165cm、女子155cm、ただし男子70歳以上、女子60歳以上は規制なし

 

◆拡大競技本部会

□あいさつ(菊池競技本部長)

 競技の成績が芳しくなく、遠征費等を連盟の持ち出しとするのは厳しい。専門委員の人件費削減で対応している。したがって、みんながジュリーメンバーとなることが望まれるので、セミナーを充実させ受講する専門委員の資質を向上させようとしている。セミナーに一回も参加しない委員については派遣について考えさせてもらうこともありうる。

 国際的選手を出すのだという共通認識を持ってやっていきたい。

 アルペンのルール改正は、SLの55ターン、GSのスイッチバック禁止については取り入れていきたい。(理事会で了承を受けた後、HPに掲載したい)マティリアルの制限は、参加者減につながるので行わない。ルールは基本どおりだが、ジャッジは臨機応変で行ってほしい。

□個人情報の保護について(徳本総務理事)

・会員が不愉快な思いをしないようにすることが基本であるとの説明があり、基本的な考え方が示された後ケーススタディが行われ、県連の対応方法が説明された。まとめとして、各申請書の所定事項の記載、写真等の取り扱いなど県連の取り組みが紹介された。

□マニュアルについて(吉岡理事)

 若干の文言訂正があり、了承された。

□行事予定について(吉岡理事)

 参加指定行事については10日前に『はがき』を出すので、担当理事に連絡をとること。

 参加委員から、一応希望を取ったうえで指示をしてもらえないかとの要望があったが、特定行事に集中するのは目に見えているので、最初から指定させてほしいとのことであった。

□県総体について(栗田理事)

 ノルディックの会場がスノーハープになったので、タイムスケジュールの変更があった。閉会式もスノーハープで行い、そこで解散になる。

 また、申し込みは県連ではなく、県教育委員会に直接メールで行うようになったとのこと。

Q:県総体の申し込み様式はHPに掲載するのか。

A:県スポーツ課で検討中だが、HPには掲載予定とのこと

Q:県教育委員会直接申し込みというが、各市教育委員会から申し込みをする形は変わらないのか。

A:各市体育課、スポーツ課から送ることに変わりはないと思う。

□役員派遣について(菊池競技本部長)

 国体監督・コーチ及び外部派遣役員については、理事会協議事項とする。


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