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五竜T「ハンディキャップセミナーU」
平成20年1月25日(金) 
ハンディキャップ委員 越前谷芳隆

◆ハンディキャップセミナーU(雪上での障害者サポート・指導実践)
  今回のセミナーの柱はバイスキーと視覚障害のサポート

  第11回障害をもつ方のためのスキー教室の前日25日、ハンディキャップ委員会主催のハンディキャップセミナーU:雪上でのサポート指導実践講習会を開催した。
 爆弾低気圧で猛吹雪という予想も外れ青空の好条件となった。エスカルプラザで8時30分から受付、参加者は昨年よりやや少なく9人。横浜で開催されたセミナーTの講師、プレジャーサポート協会の馬場賢親理事長とハンディキャップ委員の内海弘和さんが今回も講師を担当してくれた。昨年も参加していただいた自ら下肢障害をもつ井上さんがアシスタントとして加わった。また今回は和歌山県の役所で体育指導関係を担当している方が雪上セミナーを体験したいと急遽参加された。


マイクつきトランシーバー

ベルトとアウトリガー

バイスキー

受講者にアウトリガーの説明をする
馬場賢親さん


 開会式の前に視覚障害者用のスピーカーとヘッドセットマイク(エアロビクスでインストラクターがつけているような)、ヘッドセットマイクつきトランシーバー、アウトリガー、コントロールロープなど用具の扱い方の説明が行われた。9時半にエスカルプラザ前に集合し開会式。馬場講師より、今回いろいろやる講習の柱は2つ、チェアースキーの初心者版バイスキーの体験と視覚障害者のサポートについて行うと説明があり、バイスキーを持って飯森第五リフト降り場付近に移動。そこで二組に分かれ二人一組で講習を開始した。一斑は馬場講師が担当し、視覚障害の方のサポートということで各々がヘッドセットマイクつきトランシーバーをつけ、一人が帽子で目隠しをして視覚障害者役に、もう一方がサポータ役になる。サポータが視覚障害者役の前を逆V字で滑りながら「左右に誰もいないよ、前も何十メータくらいはスキーヤーが居ないから左右に曲げてごらん」とか語りかけながら滑る。このときの逆V字滑走は、周囲にも気を配らなければならずこれもなかなか難しい。「右に障害物があるよ」とか「左に○○があるから危険だよ」とかは厳禁。「右」にという言葉が先に耳に入ることによって障害物がある右に曲がってしまうからだ。

今日一日しっかりやりましょうと馬場講師

視覚障害者役(須田さん)は目隠しし、
サポータ(田中さん)は下側で逆V字で
声をかけながら滑る

役を入れ替わりながら

サポータが視覚障害者(田村さん)
後ろに回りマイクつきトランシーバで
声かけして滑る


 視覚障害者は無音が一番恐怖を覚えるという。常に話しかけ周囲の様子を知らせることが重要だ。視覚障害者役になって改めて強く感じる。サポート役を信じ声の聞こえる方向に状況に合わせ滑ることで不安は殆ど無くなる。
 また、視覚障害者の後ろや横にサポータがついて声をかけサポートする方法や視覚障害者とサポータがストックの両端を胸の前で持ち、サポータが逆V字でそのストックで案内をし、声をかけながら滑る方法も交代で行った。視覚障害者とサポータがストックで繋がるので視覚障害者にとって安心感が増す効果もある。
 視覚障害者をリフト乗り場に連れて行きリフトに乗せ上までつれてゆくことも。「待機位置まで来たよ」「もう少しで前に出るよ」「ここが乗車位置だよ」「ストックを前に出して、3,2、1はい座って」と言うようにして。リフトに乗るときはいざというときに障害者をリフトから落とせるように自分がリフト支柱側(二人乗りで支柱が片側にある場合)に乗ることが必要ということも教わった。講習中に視覚障害者役をリフトに上手く乗せることが出来ず、リフトを止めてしまう失敗もあった。
リフトに乗っているときも絶えず話しかけ、ゲレンデ周囲の状況や今乗っているリフトは「今支柱何本目、あと何本で降りるよ」など声かけをしてあげることが必要で、コミュニケーションが重要ということだ。

安全を確認しながら視覚障害者の横から
声掛けをする

お互いにストックの端を持ちサポータが
ストックの動きと声で案内をする
逆V字がサポータ(須田さん)

左側の視覚障害者(目隠し)を
リフト乗り場に案内をする

乗車待機位置に案内をしてリフトに乗せる


 2班は内海講師がバイスキー使っての講習を始める。バイスキーは初心者にとってチェアースキーよりもバランスがとりやすく最適な用具といえる。バイスキーのシート部の上下を止めるピンの説明やリフトに載るときの注意など説明があり、障害者役がバイスキーのバケットシートに乗りしっかりフィットさせ脚、胸用のストラップを正しく調整し装着する。障害者役が健常者なので比較的楽に装着できるが、四肢麻痺や高レベルの麻痺のある人をバイスキーに乗せ装着するのは相当の労力(人も)が要るだろうと感じた。
 乗る人は両手にアウトリガーを持ち左右のバランスをとる。補助者はバイスキーのシート後部につけられたテザー(二本の紐)の付け根を持ち、最初はシートの後ろをつかんでスタートして滑り始めたらV字滑走で左右のテザーを滑らせ長めに持ち、それを使ってコントロールする。バイスキーに乗っている人が左右に体重移動するときの補助をし、ターンの助けをする。バイスキーは健常者が乗っても非常に楽しい。高度の麻痺をもった方や下肢に傷害を持つ方が車椅子からバイスキーに乗り換え、雪の上を滑れることは喜びも一入なのではないかと思う。

バイスキーの構造の説明をしながら
障害者役(杉山さん)をシートに載せる

脚、胸用ストラップをしっかり締め準備完了

シートの後ろを掴み、サー滑りましょう

同上(サポータは富澤さん)

二本の紐をしっかり引き、
スピードをコントロールする

滑りなれてきたら紐を緩める
(サポータは国島さん)

次は私、チョット不安です
(シートの後ろから指導する内海さん) 

転倒!こんなこともある


 昼食後、知的障害を持った自分で上手くスキー操作ができない人を、左右に二本の紐のついたベルトを腰につけさせ、二本の紐を交互にゆっくり引いたり戻したりして操作し、ターンをさせる。また緩めたり張ったりしてスピードをコントロールしたり、前を滑っている人にショックを与えずに後ろで交互に横滑りの向きを変えること等も実施した。真後ろで方向を変えるがコツだがこれもなかなか難しい。左右に動いてしまうと前を滑っている人も左右に引いてしまい滑りを邪魔してしまう。この技術は子供にも非常に有効だと思う。
 正V字(通常のプルークの姿勢)から逆V字(後ろ向きでプルークの姿勢)ヘの変化の方法も練習した。一回転して思った位置で正しくV字にすることが非常に難しく、何度も何度も繰り返すことが大事だ。初心者や障害を持つ人の後ろから追いかけ逆V字になりながら前に出て「止めるよ」と声をかけながら膝へ手を押し付けてスピードコントロールし停止するためには是非必要な技だ。午前と午後入れ替わりながら熱心に講習を受けた。
写真21 障害者役は前傾しサポータに体重をゆだね、サポータは紐をしっかり掴み
V字でスピードコントロールする(結構重いです)

横滑りでスピードをコントロールする

左右の紐で腰を動かし向きを変えて滑る

障害者にショックを与えず真後ろで
向きを変えるのはなかなか難しい



 スキーブラケット(下肢に障害を持つかたが立位で滑るときスキーの先端が離れてしまわないようにした金具で若干の前後差はつけられる)と肢体障害者のアウトリガーを使った滑走方法について、井上さんがデモンストレーション(昨年はこれを全員が体験した)、見事な滑りを見せてもらえた。

フリースタイルではありません、
V字で一回転は難しいです

このスタイルでとめるの!

ムム!なかなかスムースにゆかないね
(水附さん)

先端にブラケットをつけ華麗に滑る井上さん


 最後に全員で記念写真を撮り今回の感想を述べ合った。

セミナー終了後全員でハイ、ポーズ


 
◆参加者と講師の声

水附謙太郎さん:ロープワークと自分の滑りが、前を滑っている人にすごく影響があることがわかった。自分がやりたいチェアースキーのサポートの基本だと思う。

須田めぐみさん:いろいろやってみて視覚障害者のサポートは非常に難しいと感じていて、自分のボキャブラリーの無さ、普段からあれ、とかこれとかを使っていてもう少し気をつけて話すことが必要と感じました。

杉山京子さん:今日一日やってみて、普段大丈夫だよ、大丈夫だよと言っていることが、自分が同じ障害者の役をやって、大丈夫じゃないじゃん、怖いじゃんということが改めてわかることが出来た。今後どうやるべきかを考える機会になりました。

富澤慶弘:今回2回目で、ハードの使い方を上手くマスター出来れば良いかなというイメージで来たんですがそれ以前の問題で、リフトの乗り方とか、スキー操作でも普通に滑るのでは無くズラシを多く使って滑るとかもっと勉強したい。奥が深いので機会があったら参加したい。

田中直子さん:今回初めてさんかさせて参加させていただいたので、何の予備知識も無くて来てしまったのですが親切に教えていただいてありがとうございました。まだ何にもわからないと言う事を感じたのでまた勉強しに来たいと思います。

国島みどりさん:さまざまなことを体験させていただきました。やはり一番はコミュニケーションが大切なんだなと言うことをまた実感させていただく機会になりました。

安部文善広報委員:みんな学んでいるという感じで楽しく撮らせていただきました。

田村敦さん:うちのクラブでもチェアースキーをやっているが、今回はいっぱい勉強になりました。今後もよろしくお願いします。

内海講師:切れるスキーも必要ですが、ずらすスキーができることが重要です。指導のあと笑顔で帰ってもらえるようにしてほしい。

馬場講師:障害を持っているとなかなかスキーにこられない。例えば皆さんのお子さんが車椅子生活をしているとか、脳性麻痺であったりとか目が不自由だったりしたら、日本のスキースクール100校に電話しても99校は断られてしまう。サポートの仕方が判らない、そういう機材が無いと言うことがあります。皆さんが覚えていただいてそういう子たちのガイド、こういう日に来てもらう入り口、切っ掛けになってほしい。SAJや他の県連でもこういうサポート講習会はまだやっていない。まだまだこれからの世界です。目の不自由な人は町にショッピングに行くにも病院に行くにも誰かガイドの人がいないと行けない。スキーも、特にチェアースキー、バイスキーなんかも60万円もするので個人ではなかなか買えない。県連で持っていて指導員とともに貸し出すと言うことになればいいなと思います。中学校の修学旅行へいっても障害ある子は先生との雪投げ遊びでしか修学旅行を終われていない。そういう時に是非こういう道具を使って、私たちのサポートでスキーが出来るように、そういう切っ掛けになってほしい


 参加者9名と少なかったが中身の濃い講習を受けることができた。障害を持つ方のみならず、高齢者、子供たちへの指導にも十分役立つことも沢山体験した。もっともっと多くの指導員の方にも体験をしてほしいと感じた。


ハンディキャップ委員 越前谷芳隆


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