平成12年度 準指導員検定会
BC級公認検定員検定会 |
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合格レポート 谷口
真治さん ソニー厚木スキークラブ
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今年で3回目。また、この日がやってきた。実力の遠く及ばなかった1回目、実力を全く活かせなかった2回目と、悔しい思いを重ねてきた。 「今年こそは合格!」という期待と「また失敗してしまうかも」という不安の中、リフトから左手に見える検定バーンを見る。 そこには、真っ青に晴れ渡った空に映える、非常に奇麗に整備されたバーンがあった。 「気持ち良さそう」と素直に感じることができ、検定で滑るのが楽しみにさえ思えた。 |
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検定バーンは年を重ねる毎にコース整備が行き届いて行くようで、車山高原スキー場の方々の気配りが感じられ、とても嬉しい。 良い結果を出せそうな、気持ちを前向きに持てる検定会の始まりだった。 私が初めて準指導員検定会に来たのは今から6年前。同じクラブの友人のサポートとしてだった。まだ2級取りたてだった私は、固く締まった急な雪面が続く検定バーンを、斜面上から見下ろすだけでも怖かったのを覚えている。年々、自分の実力が上がるにつれて、斜面に対する怖さは薄れていった。 その斜面を何度も滑るうちに、次第に失敗せずに滑ることが出来るようになってきた。 しかし、いざ検定本番となると緊張し、去年のように失敗してしまうかもしれない。 そこで、急斜面での滑りに対する気持ちを変えることにした。 検定員に点を付けて貰う為の滑りではなく、昔の自分のような1級を受験しようとしている後輩たちに「このようにすれば快適に滑れるんだよ」と伝えられるような滑りをしようと考えた。 自分の実力を100%出し切り、かっこよく滑ることができれば勿論良いのだが、それを狙って失敗するよりは、落ち着いて確実に滑り降りる方法を伝えられるような滑りが、検定会では重要なのだと思う。 「この検定会では、伝えるということをキーポイントに滑ろう」と思いつつ、SKY LINERを降りた。 |
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パラレルターン大回り、パラレルターンフリーが終わり、最後の種目はパラレルターン小回り(不整地)、今年から加えられた種目である。 キャプテンコースの下に設定された検定バーンは、斜面中央下にツルっと平らな所があり難しそうである。 しかし、この種目は難しい斜面を状況に即応しつつ確実に降りる技術を見せるためにあると考えると、そこを大きく迂回して滑っても良い結果が出るとは思えない。 そこで、フォールラインを外さず検定員へ向かって滑り降りるラインを狙い、思い切って真ん中で行くことにした。 斜面の上の方は適度なコブが並んでいて、さほど難しくなく無難に降りて行けた。 |
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とっさに正面から当たるのを避け、斜めから入ったが身体全体が大きく振られた。 だが、ここで板を横に向けてしまったら駄目だと思い、上体を逆方向に大きくひねり込むことで膝をなんとか斜面下に向け、かろうじてフォールラインを外すこと無く滑りきる事が出来た。 後日振り返ってみると、ここで大きな失敗に結びつかなかった事が自分の気持ちをポジティブにし「今年は行ける!」という感触を持つきっかけとなったのだと思う。 |
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制限滑降は、いつものスラロームコースのリフト沿いではなく、パノラマコースに設置された大回転のバーンである。 昼食前にインスペクションをする。ポールセットの状況を全部メモに書いて行く。 全部で31旗門。 緩く長いコースなので、出来るだけ減速せずに滑りきらなければタイムは出ない。 気を付けなければならないポイントは、スタート直後の斜度のある4旗門、16〜20旗門目の斜面が2段階に落ちる所、ゴールが見えてから落ちた所にあるブラインドになっている青旗門である。 それ以外はサイドカーブだけで十分に回れるポールセットだと感じた。 |
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12時半からの開始に備え、早めにスタートへと向かう。
午前中良好だった天候は崩れ、一面に霧が立ち込めている。 長い間、冷たい風の吹き抜けるスタート付近で自分の番が来るのを待つ。 天候のせいもあり、去年までの制限滑降の雰囲気とは随分と違う。 ようやくスタートまで残り数人という時に、所属する市協会の方がアドバイスに来た。 「全部組んで降りて行けるからスピードを緩めないように!」 この言葉でインスペクションでチェックしたポイントも全部クローチングを組んで行くことにした。 競技出身の人のアドバイスだけに信頼できるので、とてもありがたかった。 そして、いよいよ自分の番。 自分の検定種目は全て終わったが、まだ後から滑るクラブの仲間が居るので、既に雨混じりのゴール付近で待つ。 |
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3日目の朝、SKY PLAZAの2Fに入る。 閉会式の挨拶が続き、最後のイベント、いよいよ検定結果の発表である。 一人一人、番号が読み上げられていく。 緊張しているのか、やたらと喉が乾く。 「今年は大丈夫だ、自信もある」と自分に言い聞かせつつも、もしかしたらという不安がよぎる。 |
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同じ講習班だった人の合格は嬉しい反面、自分の番がなかなか呼ばれないのが非常にもどかしい。 「76番!」 一瞬の間の後、自分の事だと気が付く。 私は立ち上がり、そして、ゆっくりと「はいっ!」と返事をした。 席に座り、一緒に受けたクラブの仲間みんなと握手を交わしながら、ゆっくりと「あぁ、受かったんだな」という実感が沸いてきた。 式の終了後には、去年の準検で受かった数人の知り会いからもお祝いの言葉を貰う。 「来年は研修会で会いましょう!」という挨拶を交わすのが、とても気持ち良かった。 |
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準指導員になるということは、自分のスキー技術の向上という面では、大きな目標ではあるが、単に一つの節目に過ぎないのかもしれない。 最後になりましたが、スキーを通じて知り合い、自分のスキー技術向上の為に、さまざまな働きかけをして下さった全ての方々に感謝します。 |
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