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指導員研修会・公認検定員クリニック
B・C級公認検定員検定会


◆大きく改定となった検定規程について  佐伯SAJ専門委員
 今年、大きく改定となりました検定規程について共通理解をしていただくために、説明いたします。
大きな特徴は2つあります。1つは技術を見るのに1級は1級、2級は2級と見ていました。今回は、技術選のトップから初心者まですべて同じ物差しで技術を測るようになりました。従来は、すべて合格は70点でした。それそれの70点がありました。今回は、全日本の技術選のトップが95点としてクラウン80点、テクニカル75点、1級が70点、そして5級が50点となります。80点について別の言い方をしますと、全日本の技術選に参加できるレベル、85点は男子で言うと、一次予選を通過できる120名に入れるレベルと位置付けています。90点は、2次予選を通過できる60名のレベル、95点は技術選の上位レベルということになります。
 
 では、級別テスト4級、5級の1点と技術選トップの1点は同じかというと、質が違います。これは、オフィシャルブックを見ていただくとわかるのですが、1級から順に上がっていきますが、質が違うということで、ドラムの絵が書いてあり、その太さが違うように表現されていました。1点の幅が違うと考えていただければよいと思います。従来ですと、検定で、惜しい方が69点、上手い方72点とか採点したと思います。
 今回は、2級の検定で、例えば大回りで1級レベルと思ったら70点をつけていただいて良いわけです。しかし、小回りで3級レベルとおもったら60点をつけていただいて良いのです。結果は、平均で65点ですから、この場合は、2級は合格となります。このやり方はわかりやすく、本人の技術上達への目安にもなるということです。是非、活用していただきたい。

 ちなみに、1級のレベルについては、どうしても各クラブ、協会でバラツキが出来る思います。これは、ある程度仕方がないのですが、神奈川の準指検定を是非見ていただきたい。合格された方は指導員ですが、落ちた方が1級のレベルなのです。新たに、1級を合格された方が、指導員の養成講習会で同レベルで滑れるか、というポイントで見ていただければ、バラツキが少なくなると考えています。
  もう一つは、カービングターンを意識した改定であるということです。
カービングスキーは数年前から出てきまして、SAJも積極的に取り組んできたわけです。ただ、結果としまして、まだカービングスキーという言葉とカービングターンという言葉が混同されているのではと思います。
カービングスキーの理解ですが、スキーのターンは荷重、角付、回旋という3つの運動要素で成り立っています。カービングスキーは、板そのものが回旋能力を持っているものです。


 したがって、荷重と角付け、つまりバランスよく乗ってあげれば、脚を捻らなくても楽に回ってくれる板だと理解していただければよいと思います。
回旋という運動は、脚を股関節を中心に捻るということは、日常生活でなじみのない運動なのです。それを補ってくれるのが、回旋性能をもったカービングスキーなのです。個人的には名前をイージーターンスキーとすればわかりやすいと思っています。カービングスキーは、たしかにカービングターン、つまり非常にズレの少ないレールターンがやりやすくなっています。これを、カービングスキーを履くとカービングターンをしなければいけないと錯覚する中級スキーヤーが非常に多いわけです。昨今のゲレンデを見ますと、やたらスピードをだしてすっ飛んで来るスキーヤーが多くなった。これは、カービングスキーを履いたら、カービングターンをすると言うイメージからなっているのだと思います。

 基本的には、スキーの技術的な考え方は、外足荷重なのです。それを容易にする為に体の使い方としては外向傾が必要になります。特に外傾姿勢によって外足にしっかり乗るポジションを作ること、もうひとつ、外向姿勢ですが、板を押し出すため、下からの抵抗に対してふんばる姿勢が外向姿勢。綱引きですが、自分の体に対して真っ直ぐに引く人もいないし、横に引く人もいません。大体七三に構えて綱を引きます。斜めに構えて綱を行きます。このときの足は、綱の方向に対して突っ張っているわけです。つまり腰を開く外向姿勢というのは、押し出すための姿勢でもあるわけです。一般の生徒さん、カービングスキーの普及率はまだ50%もいっていないと思います。ノーマルのスキーで滑られる方を教えるときは、押し出していく、つまりスキッディングを教えることが必要です。その為には、外向傾が必要なのです。

  カービング要素のターンは、押し出しをしたくない、つまりずらしたくない訳で、逆に、外向傾を少なく、正対ぎみにもっていくことで、ターンがしやすくなります。ビデオを良く見ていただくとわかりますが、特に板のトップの前後差はそんなにありません。前後差をつけると、外向傾になって板がズレてしまうことになります。カービングスキーの弊害として、特に中級スキーヤーがカービングターンを行ってスピードオーバーやノンブレーキで怪我も多くなってきています。また、今年の準指検定で、若い年代層でカービングスキーでターンを覚えた方が、プルークボーゲンでもよりかかってしまう。これは外向傾の不理解ということになります。基本的な体の使い方を理解していただき、外足荷重、外向外傾を基本にカービングでの正対を対比させながら、教えていただければわかりやすいのではないかと思います。


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