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南関東ブロック研修会
2002年12月7日〜8日 長野県車山高原スキー場
★石井貴子さん 南関東ブロック研修会レポート
ナショナルデモの伊藤さん、佐藤さん
研修会風景
◆SAJ立会い 杉崎寿三男 理事
 スキー連盟も大改革をいたしました。なにか改革を起こす、変革させようということになりますと、財団法人としての規約規程との関係もあって、なかなかスピーディには行きませんが、ここまで進めて来れるものは進めてきました。今後、良い形の近代的な規約規程、組織にしていかなければならないと考えております。教育本部では、昨年のナショナルデモ、今年のSAJデモ、イクザミナーが誕生しました。生まれたばかりですので、皆さんのお力によって育てていかなければならない使命があります。
立会い 杉崎理事
 今年のテーマにつきましては、毎年テーマが設けられておりましたが、今年は少し違っておりまして、SAJからの伝達の時代は終わりまして、みなさんの「創意工夫」で、なんとかスキー界を復活させていただきたいという願いであります。南関東ブロックは雪なし県ですが、雪あり県と同じ事をしていてはまずいと思います。南関東ブロックは人口も多く、スキーを出きる人が多くいると思います。工夫をしていただき、会員25%増が南関東ブロックで達成していただけるのではないかと思います。皆さんの力をお借りして、なんとか活性化していかなければならないということが課題です。今回の研修会ですが初期の目的を達成するようお願いいたします。
 
◆SAJ 富岡幸一郎 監事
 全日本スキー連盟は、支えていただいているブロック、加盟団体があって初めて成り立っているのだと、常日頃考えております。また、それを支えているのは、ここにいらっしゃる先生方だと思いますので、今日の研修会を糧に、今シーズンますますご活躍することをご祈念申し上げます。
SAJ 富岡監事
◆SAC 色摩三紀雄 理事長
 昨年から、このブロック研修会、技術選手権大会と両県で進めてきましが、みなさんの立場で人的交流が非常に上手く言っているのではないかと思います。シーズン中に限らず、オフシーズンも交流があり、また今夜も懇親の場があると思います。このチャンスを生かしていただき、次の世代の有意義な活躍の場にしていただきたいと思います。オフシーズンでは、皆さんも含めた交流の会を作ろうと考えております。
SAC 色磨理事長
◆SAK 片忠夫 常務理事
 アクアラインが神奈川と千葉を結びました。縁結びの神様のようですが、非常に絆が深くなっております。交流を深めるということ、皆さんの影響が絶大で、クラブの中、それから一般スキーヤへの影響も大きいので、それが活性化であると思います。テーマだけではなくて、スキー界の動き、交流を含め、学んでいただきたいと思います。私も交流は大好きですので、よろしくお願い致します。
SAK 片常務理事
◆SAJ 山田隆 広報委員長
 今年のテーマは、創意工夫ということで、伝達ではありません。雪上での滑りについて疑問などがありましたら、ナショナルデモを含めた講師に質問をして、指導に役に立つようにしていただきたいと思います。現実の問題として、連盟の会員がもの凄い勢いで減ってきています。その中でどう組織を維持し、新しいスキーヤーを探していかなければいけません。
◆65%のスキーヤーはノーマルの板
 カービングの板の普及率は35%だそうです。65%のスキーヤーは、今だノーマルの板で楽しんでいるわけです。都会の連盟である我々が、その65%のスキーヤを投げ捨てていって前へ進んで行ってよいのかと思います。ノーマルの板の人、これからスキーを始める人をどう取り込んでいくかが課題です。また、年を取った方にもスキーを楽しんでいただきたい、どうやったら楽しんでいただけるのかを考えなければいけません。
◆言葉で相手をねじ伏せない
そういう中では皆さんが教えてやると言う態度では、一般の方はついてきません。皆さんが教えるときに、言葉で相手をねじ伏せるようなことは決してしないでください。いかに楽しく過ごしていただくのかが大切です。その中で,技術に関心がある方にそれを行えばよいのです。雪の上に楽しみ出来た方に、並ばせて、言った通りにやれと、言っている事をわかれという指導のしかたは、今の時代には向いていません。みなさんが創意工夫でどう楽しんでいただけるのか考えてください。
 
◆伊藤敦 ナショナルデモ
 テーマの創意工夫ですが、どう組み立てるのか悩んだのですが、スキーヤーをテスターにして、その人がどのくらいの内容で楽しめるのか、目的が検定なのか、楽しいスキーが良いのか、聞いてみる必要があると思います。そして、一人一人に満足していただけるレッスンを皆さん方に組み立てていただきたいと思います。
伊藤敦 ナショナルデモ  

◆子供がスキーをやると親御さんもやる
 私が今やっていることですが、初心者の子供がどういう風にスキーを楽しめるのか、体力的な面、季節への慣れなどがあります。また、飽きさないようなレッスンの組み立てが必要だと思います。子供は集中力が30分ぐらいしかありませんので、その中で同じようなことをやっても上手くいきません。 子供達がやるということは、その親御さんもやるということです。親御さんも昔はスキーをやっていた人達で、カービングのスキーではない長いスキーを持って、10何年前の基礎スキーがはやった時の、ウエアー来ていらっしゃいます。

◆子供が自然で楽なやり方がある
 私の子供5歳を実験材料にしています。どうしても子供は角付けができないので、ブーツのしめ具合など気をつけることが必要です。曲がるとき、ターン外側に荷重するとか身体に窮屈感を持った教え方をしていたのですが、実際に滑れるようになったときは、ふっとテールを押しずらしていく、ターンしていく方向に身体を向けている。これが子供が楽なやり方で、大人も同じだと考えています。特に年配の方は体が硬ければ、無理な外向傾などは辛いと思います。

◆引出しを多く持ちましょう
 テーマに自分なりの肉付けをしていますが、違う発想を受けたときは試してみることが大切です。それで肉付けが増えてきて、対象やバリエーションの引出しを多く持つことで、良い教師としての評価も出てくると思います。

 
◆佐藤久哉 ナショナルデモ
 この2日間でスキーの実技だけでなく、みなさんとの交流も、よろしくお願いします。創意工夫をテーマに展開していきますが、私はヨーロッパのオーストリーで勉強しました。一番感じたことはスキー指導者はスキー場全体を楽しませるコーディネイターだと感じました。指導といっても技術だけではなく、雪山、パウダー、さまざまなものを提供するんだと感じました。われわれもそうあるべきと考えています。
   
◆一人一人の特徴を伸ばす
 今回はさまざまなディスカッション形式で進めて行こうと考えています。創造性ある指導者、たとえば、受講者の滑りの現象に対して、その滑りの特徴をどう伸ばすのか、一人一人作り上げていかなければならないと思います。その中で、新しいものが生まれて商品となり、指導の現場で生かされていけばよいと思います。
 
◆柳橋泰久 イクザミナ
 私は技術選におよそ10年出ていまして、昔はノーマルのスキーで切れるターンを目指してきました。早く切れのある美しいターンをどうしたらできるのかを考えながら技術選に出て、それをベースに指導もしてきました。しかし、カービングスキーが出てきて、技術選もスピード化が進んで、いままで一生懸命やってきたことが、いとも簡単にスピードを増して滑れるという、スキーと道具が出てきていると感じています。
柳橋泰久 イクザミナ  

◆トップコントロールとテールコントロール
 ただ、それだけがスキーのすべてではないと思います。ずれるスキーも指導していきたいと思っています。最近、研修会とかで難しい言葉が出ています。トップコントロール、テールコントロール、さて何でしょうか?
 トップコントロールはスキーの軌跡を変えないで身体を傾けてエッジを傾けると理解しています。斜滑降の姿勢から身体を内側、脛を内側に倒す、体が先に傾くとカービングになります。テールコントロールは体の外にスキーを出してエッジを立てます。少しブレ−キングの要素があります。

◆自分なりに身に付ける
 スピードコントロールは重要です。最近はカービングでエッジを立てて滑るので、スピードも上がり事故も増えています。指導者の方は、ただテールコントロールとかトップコントロールとか言葉だけではなく、自分なりに理解して、一般のスキーヤにそれを伝えられるように、模範を示せるような技術を身に付けてください。こういう研修会で伝達すると伝言ゲームになってしまいました。まず、基本的なベースをしっかり身に付けることです。講師の滑り、言葉をそのまま使うのではなく、自分なりに身に付けて進めるようにしてください

 

◆猪俣和久 講師
 スキー指導者は、全国に4万人で、千葉が1000人、神奈川が2000人。東京が4000人で、南関東で7000人です。スキー学校は320校で平均10人の常勤講師がいたとして、3200人。ということは、90%以上は我々と同じような地域を主体にしている、指導員と言うことになります。

 SAJでは、各ブロック、県連でやっていることを、逆に取り入れたいと言う方向になっています。指導員研修会について加盟団体宛にアンケートも来ることになります。現場で実際にやっている皆さんから意見を集めたいと考えています。地域で独自なもの、ジュニアテストの実施状況や成果、上達のためにどんな機材を使っているか、マーカー、フラフープなどや、補助動作という言葉の中は無限の広がりがありますが、今まで無いようなものを、中央に出して欲しいとの事です。

◆創意工夫とは我々の質が問われる
 伝達ゲームは楽ではありましたが、本当に創意工夫という言葉の裏には、われわれ教師の質を問われると思います。われわれがどうやって創意工夫、掘り下げて、楽しかったといってもらえるか、ということは常に意識して考えていくしかないと思います。答えはないので、それぞれの意見を出し合って、参考にしてください。個人的に、あまり先走ったカービング、ある程度のレベルに到達した人は良いのですが、そこまで至らない人には難しいと思います。

◆対象者のレベルを考えて
 今はやりの、内向内傾にも疑問があって、トップデモに聞いてみたのですが、それが可能なのは、全日本でも50位以内のレベルでしょうとの事でした。対象になっている人達が必要かどうか、外向外傾はわかりますが、本当に通用するものなのか、対象者に合うものなのかを考えて、あんまり先先に進まないような講習にしないといけません。対象者のレベル上げを考えてください。

 
◆増田千春 SAJクラブ振興運営委員長
 スキー連盟はオリンピック以後,大きな変革を望まれ、機構改革から始めています。それは理事会直属の委員会である、企画委員会、広報委員会、渉外委員会を設けたことです。過去の整理と将来を見通すセクションです。デモ強化は技術小委員会と名前が変わったり、イクザミナーというセクションもできたのは、専門的なノウハウを集める機能です。。従来の委員会も行事に合わせたセクションに変更しました。より現場に近い形で考えたわけです。この流れの中で皆さんのご支援を頂くということで動き始めております。

◆技術論と指導方法論を区分した
 企画委員会が中心になって、今年の研修テーマを考えたときに、まず技術論と指導方法論をしっかり区分けしようということが大きなテーマになりました。技術的なわかりやすさ、誰もが普遍の技術論を理解していただくということで、提案されたものが、オフシャルブックにあります市野さんの理論です。これは教程に書かれてある、カービングのスキッディングの説明の方法と違っています。一つの方法で、両方を説明しているところが、かなりシンプルで説明しているところが明確化されてきています。

◆落下運動には縦方向と横方向が
 ターンは落下運動からおこり、その落下運動には、縦方向と横方向の組み合わせで、それを原動力をしています特に、横方向の動きが今まで取り上げていなかったところで、その動きがターンの外側への動きと、内側への動きの要素があるということです。特に外側への動きがスキッディングで、内側がカービングというところを、整理をしています。これが一番のポイントになっています。

◆ニュートラルポジションが出発点
 横方向と縦方向の組み合わせですが、縦方向のみの動きが、直滑降と斜滑降になっています。それがターンを起こさないニュートラルポジション、ゾーンになります。直滑降、斜滑降が真っ直ぐ、あるいは横切る技術だったものが、ターンのベースになるもの、ターンを始める前のポジション、ターンが止めさせるときのポジションという捕らえ方をしています。ですから、もう一度その観点に立って、ニュートラルなポジションという直滑降、斜滑降を捕らえながら、さあ、傾けるのか、ずらすのかが実技の出発点です。この発想を先生方に伝えていただければ、50%は伝達ができたと思います。

◆プルークがどれだけ初心者に有益か
  そこから先は、現場により近い指導員の先生方が悩みながらアイデアをもっていると思います。
 裏を返してみますと、今までプルークということにこだわり過ぎていることです。果たして、直滑降からプルークすることが、どれだけ初心者にとって利益になるのか、今のスキーを使って、かえってそのことが遅くなることも感じていらっしゃることだと思います。どういう形になるかわかりませんが、オフィシャルブックでも、カービングの部分がブラックボックスになっており、ここの部分にどんなアイデアが出てくるのか、いろんな発想が出てくるハズです。

◆伝統的な指導法も実績はある
 デモの中には、そういう発想の人もいます。プルークを使わずにパラレルに入っていく方法をやっている方も沢山いらっしゃいます。しかし、伝統的な指導法も絶対量の人をある程度まで上達させてきた訳ですから、歴史的な積み重ねの効果も承知しています。当然、指導員を持っている方への指導の組み立てに役立つと考えています。検定の中にも3つのタイプが存在しているかぎり、新しいスキーの中でやらなければいけないことは押さえておかなければいけません。

◆これからは皆さんが試される
 市野さんの理論展開をしたものは、どちらかと言うとメカニズムのほうで、ロボットだとか、科学的に考えるとこういうことだと理論を展開した思います。これからは、人間が意識をもって、心理状態でどのような骨格、筋肉をどのようにしなければならないのかということは、もう少し時間がかかり、来年、再来年のテーマになると考えています。まずは、提案されたシンプルな理論に対して、ナチュラルポジションと言うところからターンを始める、終わらせるをベースに、何ができるかというところが、テーマだということを認識してください。こんどは、みなさんが試される順番になってきているのだと思います。

◆南関東の果す役割は大きい
 5年間の準指受験合格者は8600人いるのですが、東京、神奈川,千葉で約2000人の人が合格しています。ところが長野も100を切ってきていますし、北海道も100に近くなってきています。何が言いたいのかと言うと、都会のマニアックな人しか残っていないのです。指導員合格率も長野、北海道より南関が抜いているのです。雪国の人達が教師になっていないということなのです。これは、南関の使命は大きいと思います。みなさんの果す役割が益々高くなると思っています。2日間の実技研修上手くいきますよう願っています。


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