ホー ム > 行事レポート2002 > 指導員研修会理論   3    
平成14年度 指導員研修会理論

◆松本SAJ専門委員

 SAJ教育本部の指導部を担当しております。主に研修会のテーマや指導員検定の担当となります。

 本年度の指導員研修会のテーマと言うことですが、お手元に資料がありますが、理論テーマでは、1、マネジメント技術、2、人間関係技術、3、内容指導技術などがあります。

 

◆自分にあったスキーを楽しむ時代になってきた
 ここ数年、沢山の教程が発刊されておりますが、その教程を皆さんが理解されたと言うことで、これらの教程の活用が問題になります。昨年もそうですが、テーマに関しては、厳しい評価があります。SAJのスキーを教えてもらうのではなく、自分にとって価値のあるスキーを教えて欲しいという方もいらっしゃいますし、一番はライフスタイルの変化というのでしょうか、自分に合ったスキーを楽しむ時代になってきました。

◆スキーヤーの求めるもの
 人との出会い、仲間作り、生涯学習、生き甲斐と実に多種多様となっています。当然、十人十色であり、指導者も十人十色の個性が求められています。多くの指導者は、自分の経験したことから指導を展開していくのですが、それでは多様なニーズにこたえることが出来ないと考えます。ある意味ではスキー人口の減少の要因になったのかもしれません。十人十色の多様な要求答えられる指導者、つまりお手伝いをするような指導者がよろしいのではと思います。

◆昔はよくあることだった?
 昔、私もスキー学校で一般レッスンを受けておりましたが、その時のクラス分けは、今から思うとゾットするようなわけ方でした。沢山いたわけですが、上中下とクラス分けするのですが、滑らせてあなたはこっち、あなたはそっちと、初めての人まで滑らせたり、残酷な感じがいたします。また、寒いゲレンデの中で教程の中にある言葉だけを唱えるような指導員が多かったと言われております。

◆研修会テーマが伝達ばかりになってしまう
 いままでもそうでしたが、今年はこういうテーマですよと出すわけですが、結局伝達ばかりになってしまいます。車の話で恐縮ですが、走りやパワーばかり考えて乗る人のことを考えなかった車のメーカーは大きなリストラに至っていると思います。そのようにならないよう、みなさんもスキーの指導をまず商品として考えてください。商品と考えていくと、いち早くお客様のご要望にこたえるということが必要だと思います。それから、指向別とか対象別とかが基本とならなければいけません。 スキーヤは勿論滑ることに満足を得るわけですが、付帯的なことにも価値観があると思います。例えば温泉がそうであったり、飲んで歌える事を楽しみにしている(特に川崎方面の先生が多いようですが)、いづれにしてもいろんな価値観、目標もありますので、画一的な対応は避けていただきたいと思います。指導展開図では、安全,快適、挑戦もありますが、それぞれを決め付けずに進めていただきたいし、オリジナルな指導をお願いします。

◆40歳からの大人のスキーの進め
 最近読んだ本ですが、「40歳からの大人のスキーの勧め」です。帯が再び始めよう、今から始めよう、スキーは誰にでも楽しめる、その魅力は尽きないと書いてあり、それを見て買い求めました。一部を引用させていただきますと、「大人のスキーはガンバですじゃなくて、バカンスです。大人のスキーは呼吸を止めたり奥歯をかみ締めたりするのではなく、肩の力を抜いた呼吸と上下動で、まるで健康青だけふみの上にいるように滑れば、滑るほど血液の循環や酸素の摂取が活発になって息も心も溌剌としてくる。そんな爽快で愉快で万病を絶つ効果があるようなリフレッシュなものだ」と書いてあります。もうひとつは、体の財産である体重を使うことです。50Kgの力をバンと出すよりも、体重を利用できれば余計な力を使う必要がありません。体重計の上に実際に乗っていただいて力んでも、体重は増えません。しかし少しでも身体を上下すると体重計は大きく反応します。このもてる財産を使ってどんどん働きかけていきたいと思います。(講義テープから原稿を作成しているため、引用が不正確である可能性があります。後日調べて修正を行う予定です。問題がございましたら、神奈川県スキー連盟までご連絡ください。)

◆指導員検定について
 SAJの登録では指導員が20,622名、準指が23,163名いるそうですが、昨年の指導員検定の合格率を見ますと、全体の合格率は63.8%でありました。神奈川県は59.5%、ちなみに東京が54.2%、千葉は44.4%、長野は56.2%でした。私が検定員としてみていましたが、神奈川の先生がたは、もう少しで合格と言う方がかなり多かったということです。指導員検定の評価の観点は、今まで指導活動に従事している方を対象としていますから、プルークボーゲン三体、質的内容の表現が課題とされ、幅広い習熟度と理解力を見てジャッジをするわけです。皆さん兎角急斜面を練習されたりするのですが、転ぶことの少ない確実な緩斜面でのプルーク3体をしっかりと学んでいただいて、基礎を技術として練習していただくことが合格率がアップすると思っています。

◆用具の改革
 用具の発達で、いまやカービングスキーはノーマルスキーとなった訳です。カービングスキーはカービングをするだけのスキーではなく、操作性が高く、従来のスキーと比較にならないほど上達が早いのです。カービングの問題点など、オフィシャルブック44Pに書いてありますので、よく読んで理解を深めてください。

◆資質の向上を

 世の中不景気になると、悪いことばかり目に付くようですが、スキーの魅力に取り付かれて夜も特訓したり、スキー場で出会い結婚したり、商売のチャンスになったりとか良かった人、暇さえあればスキーに行ったり、資格を取るため休暇を使い果たしたり、お金も使い果たしたり、病気になったり、家族を犠牲にしたりした方もいらっしゃると思います。せっかく取った指導員ですから、スキー命で取った指導員ですから、是非大事にしていただいて、資質を上げていっていただきたいと思います。神奈川県は雪なし県でありながら、有資格者は全国で4番目と聞いています。是非、痛みの伴わない改革をしていただいて、テーマにとらわれずに、楽しいスキーをしていただければと思います。

◆もう一度基礎に戻って
 検定は、こういう滑りでないと受からないと型にはめる人もいますが、実際は流れの中で、体の使い方を理解していれば、下で見ていて良くわかります。また、得意な種目ほど力が入りすぎてしまい、動きが止まってしまうこともあります。是非、緩斜面技術、ゆっくりとしたスピードの中でどれだけスキーを動かせるとか、もう一度基礎に戻っていただきたいと思います。

ホー ム > 行事レポート2002 > 指導員研修会理論   3