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「県スキー技術選大会」が千葉県と共催に
2002年1月25日(金)〜27日(日)。長野県車山高原スキー場で「神奈川県・千葉県スキー技術選手権大会」の第一回目大会が開かれる。
◆堅いバーンで県技術選を開催したい
 2県が共同して「県スキー技術選」を開くのは、全国でも珍しい。ことの発端は半年ほど前。千葉県スキー連盟(SAC)から「堅い雪質のスキー場で県技術選を開催したい」との話が持ち上がったのがきっかけだ。これまでSACは、福島県の高畑スキー場で県技術選を行ってきた。高畑スキー場の雪質はやわらかい。だが、全日本技術選は堅いバーンで行われる。
 神奈川県スキー連盟(SAK)の技術選が行われる、車山高原スキー場の堅さはピカいち。時に青ごおりが張るバーンは、「スケートリンク場」とも称される。そうした堅いバーンで技術選を行い、選手のレベルアップを図るのがSAC側の狙いだ。
 SAKとSACの担当者による打ち合わせは、計3回行われた。第一回目は、神奈川県と千葉県の中間地点、東京の「八重洲ブックセンター喫茶室」で。打ち合わせの結果、技術選会場のほか、運営方式、賞状・カップなどは、基本的にSAKの従来方式を踏襲することとなった。共同開催の第一回目はSAKが主管となり、あとは1年ごとに主管が交替する。
 
◆他県連選手の滑りを刺激に
 では、共同開催によるメリットはどこにあるのか。
 SAC側の大会役員を務める、工藤喜明SAJブロック技術員は、「全日本の技術選に進めない人は、他県連の選手と競り合う場がない。ここ数年、千葉県所属で全日本の決勝に残る選手は、伊藤敦全日本デモンストレーターだけ。車山で技術選を行えば、他県連選手の滑りが見れるし、堅いバーンに慣れることもできる。全体的なレベルを底上げし、準決勝に残れる選手を育てたい」と話す。
 昨年のSAC技術選の参加者は約200人。これまで150人ほどだったのが去年一気に増えたという。全日本の本選に進むのは、補欠を入れて男性6人、女性3人といったところだが、伊藤敦デモを除き、準決勝にはだれも残らないのが現状だという。
 SAK側はどうか。10年前に約100人だった技術選の参加者は、ここ数年で250人前後に増えた。「一昨年から、大会を盛り上げる試みをいろいろ仕掛けてきた。スタート時にクラブ名と選手名をアナウンスしたり、ゴール付近に協会やメーカーに『たれ幕』を掲げてもらったり……」(99年から教育本部理事を務める菊地勇二SAK理事)。
 SAKで本選に進むのは、補欠を入れて男性7人、女性5人。3、4年前からはコンスタントに男性2人ほどが準決勝に残るようになった。専門委員への若手登用など活性化策が効いているようだ。上位に残る選手はいるが、SAK出身の全日本デモンストレーターは、1939年のSAK創立以来、山田隆氏と小沢哲氏の2人だけ。
 「実は93年ごろまで、東京都、神奈川県、千葉県は『南関東ブロックスキー技術選大会』を11回ほど共同開催していた時期がある。ほかにも、3、4年前からは南関東ブロックが共同で車山で中央研修会を行うなど、SAKとSACとのつきあいは深い。技術選を共同開催すれば選手のマンネリ化を防げるし、技術的な活性化も期待できる」。菊地理事はこう力を込める。

◆参加者は全部で485人

 1月初旬時点での、参加予定者合計は485人。運営は、スキー学校関係者など現地スタッフの協力を得た上で、SACとSAKから半数ずつ役員が出る。大会記録計算係を務めるSAKの山崎浩一氏によれば、「1人45秒かかるとして、予選だけで6.5時間費やす」計算だ。ジャッジは昼食はおろか、トイレに行くのも大変だが、「段取りよくやるしかない」と菊地理事は覚悟を語る。
 予選の種目は、大回り(急斜面/整地/フリー)、小回り(急/整/フリー)、小回り(中/不整地/フリー)、総合滑降(総合斜面/フリー)。選手は4班編成だ。ジャッジは5審3採用。SACとSAKから10人ずつ出る審判が5人1組となり、4班編成でジャッジを行う。
 予選を通過できるのは、男子上位150人、女子上位30人。決戦の種目は、大回り(急/整/フリー)、小回り(急/整/フリー)、小回り(中急/不整地/フリー)、総合滑降(総合斜面/フリー)。
 県のメーン行事を共同開催するという今回の試みを、各県担当者はどう受け止めているのか。菊地氏と工藤氏からは、「中央研修会で顔を合わせて知ってる人はいたが、県連のトップだけでなく、中間層同士の交流が生まれたことは喜ばしい。これが選手同士の交流につながっていくとうれしい」との即答が返ってきた。さらに、はるばる2時間かけてSAK事務局に通った日々を、「東京をまたいで来るので遠かった。事務局にはいつもいっぱい人がいるなと思った」と、工藤氏は振り返った。

 3月中旬には、山梨県、静岡県、神奈川県共同の技術選手県大会も計画されており、千葉県からの参加も認める予定だという。だが、「まずは、SAKとSAC合同の技術選を成功させるのが第一。『また来年もやりたい』『一緒にやってよかった』とみんなが思える大会にしたい」と関係者は声をそろえる。横浜駅近くの小さな事務所の一角で、情熱的な最終打ち合わせは夜遅くまで続いていた。
(取材/大井智子広報委員、中里健二広報委員長)

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