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【スキー指導者研修会理論】 ■河野太郎会長 ビデオレターによる挨拶
■大山指導員会会長 挨拶
■岡田教育本部長 挨拶及び特別講師紹介
新しい教程が発行されました。内スキーから外スキーなど、教程の内容は変わりましたが、これがすべてというスキーはないと思います。創意工夫して使っていただきたいと思います。 今日は特別講師として東京都連に所属されている佐藤久哉さんをお招きしました。佐藤さんはアルペン競技の世界で数々のタイトルを取られた後、基礎に転向され全日本2連覇して一躍名を上げられました。 そこで、佐藤さんに私から質問があるのですが、好きな言葉として、「アマゾンで蝶が羽ばたけば、北京で雨が降る。」をあげていらっしゃいますが、これはどういう意味なのでしょうか。 ■佐藤久哉講師 これは物理学のリーマン博士の言葉なのですが、生態学では一見関係なさそうなことでも全てのことが影響しあっているという意味です。 昨年まで全日本の教育本部でデモを12年間やっていろいろ勉強させてもらいましたが、全日本アルペンスキーチームのチルドレン(小6から中学生まで)の強化・育成の担当に一本釣りで就任しました。 今年の8月から、女子で8年間、男子12年計画でオリンピックの選手を育成していきます。2月のソチオリンピックでは、アルペン男子では2人とも途中棄権という結果に終わり、女子はJOCの選考基準に満たないため代表が出ていない状態だった。アルペンの低迷は、ジュニアの育成をやっていなかったことに原因があります。今のエースの湯浅選手が次のベールでのワールドカップ後の、次の世代がいないのです。平昌(ピョンチャン)オリンピックでは、彼は30代後半となり引退も考えられるなど末期的状態となります。そこで私がアルペンに戻って、かつての経験を生かしてチルドレンの育成を担当するということになったのです。 次に、アルペンとは何かをアルペン競技4種目を説明しながら話を進めていきます。また、スキー産業界の数字を共通認識として示していきます。 ○私のヒストリー まず、私のここまでのヒストリーを青森からの背景を紹介していきますので、よろしくお付き合いのほどお願いします。 まず、父が三浦雄一郎さんと同級だったことが私がスキーを始める基礎になっていると思います。皆さんの中にはご存じない方がいるかもしれませんが、ロープトウで育ちました。あまり上手ではなかったですね。でも、小4で東北大会に優勝。その影には、夏でもワールドカップのビデオが流れていて、常にああなりたいと思う環境があったからだと思います。小3の9歳当時の合宿は苗場サロモンワールドレーシングキャンプで、当時のイタリアのエースグスタボ・トエニがこの子はいけるかも言われたと聞きました。その後すぐにサロモンから用具の提供を受けられるようになり、すごく助かった思いがあります。今で言うスポンサードのはしりでしょうか。日本は早い年齢のうちからつばをつける傾向があるようです。中3で全日本に召集されナショナルチームに入りました。高校に入ると人間関係も変わりました。私が1年生のとき、木村公宣選手が3年生でした。上下関係というものも学びました。しかし、インターハイは不満な結果で、高2でのナショナルチームでも成績が出ません。高校3年のインターハイは不出場となり、佐藤はもう終わったのうわさが流れ、スランプに陥りました。しかし、スランプに対しての心の準備(勉強)をしていたので大丈夫でした。それから企業に所属してサポートを受けながらヨーロッパに遠征し、成績を出すことができました。22歳のチリ合宿で靭帯損傷したが、もう1回やってみろと励まされ、23歳で単身スイスチームの合宿に参加して練習したが、16時すぎまで練習する姿勢に感銘を受けました。24歳でカナダ選手権でワールドカップ選手を抑えて入賞ということもあった。しかし、25歳で長野オリンピックの選考にもれて選手を辞める。その時デモンストレーターの話を聞き、指導者に興味を持ちデモの資格を取りました。それから、世界スキー指導者会議に3回出席させていただきましたが、雪上、フィジカルの専門家の話やスキー産業の成功例など大変に勉強になりました。 そして、これからは、最初にお話しした次の世代の育成に取り組んでいきます。 ○スキー産業について 次に、スキー産業の話をしたいと思います。 レジャー白書からデータを頂いていますが、スキーは93、96年がピークでその後ずっと下降して、07年から若干上昇しています。20歳代の最近の5年間での余暇の過ごし方では、インターネットがダントツに増えていている一方、スポーツは男子では20%も減少しています。また、旅行の同伴者では、この20年で学校や職場の人よりも家族を選ぶ傾向が強くなっています。実際、スキー場でもファミリースキーの方が増加しています。消費の動向では、携帯電話に対する支出が増加しています。また、各スポーツの1回当たりの支出額では、ゴルフ(790万人)とスキー(560万人)がそれぞれ1万3,020円と1万1,950円と大きくなっており、ジョギング(2,450万人)の270円と比べて、いまだに大きなマーケットであることを認識させてくれます。因みに、スノーボードは、1万3,240円とかなり高くなっています。 次に、年齢別の各スポーツへの参加率ですが、20歳代は6%と少なく、40歳代が10%、50歳代が12%と一番多くなっています。 次に、各スキー場の様々な工夫を見て行きましょう。私のいる舞子スキー場は、子どもがかなり多くなっていて、週末はファミリーがものすごく多くなります。また、19歳リフト無料というサービスも全国で80カ所から160カ所へと実施するスキー場が増えています。これは、リクルート社の利用者統計で最も少ない世代を調べたところ19歳だという結論だったので、そこを増やせ次につながるという発想です。舞子では、週末バスが何台も来ますが、渋谷からそのまま来たという雰囲気です。ボードが8割を占めていますが、中には、私がフロントに立っていると、これからどうすればいいんでしょうかと聞かれることがしばしばあります。スキー場に何をしに来たのかも分からない女の子がよくいるんです。こういう人のために、昨年からマウンテンガイドという、地元のおじさん、おばさんがスキー場で何をしたらいいのかをガイディングして、大好評を得ています。そして、道具が揃ったら、スクールへどうですかと流していくのです。時代のニーズに合わせたサービスを提供していかないといけないのです。潜在的なニーズを見つけ出してオペレーションして行くのです。 長野県の白馬村ではオーストラリアからのお客が年間3万人を大きく超えているそうです。治安はいいそうですが、お酒を飲んで陽気に騒いでいるそうです。野沢温泉村では、もっと裕福な層のファミリーが集まって来ているそうで、長野県ではこういった住み分けのできた取り組みをしています。 ○アルペンレースについて ・滑降 スキー場すべてを使うスピード競技で日本は長野オリンピックの後、ナショナルチームを解散してしまった。 ・スーパー大回転 日本にも雫石や岐阜の専用コースがある。人間の無酸素運動の限界が1分20秒程度でるのに対して、1分50秒程度のタイムを競うため、限界を超えることを要求される厳しい競技。 ・大回転 ヨーロッパではコース上にウェーブが多いスキー場がたくさんあるが、日本にはないので、勝てる環境ではないと言える。 ・回転(スラローム) 湯浅直樹、佐々木明、皆川健太郎などの日本人選手が得意とする種目です。 ・パラレルスラローム 2人で同時に滑る競技で、エキジビションで行われたり、賞金が掛かる勝ち抜き戦で行われ。2人の間隔が狭く、勝敗が分かりやすくて、盛り上がる競技です。 次に、現在最速と言われるアメリカのテッド・リ ゲッティ選手の滑りを見て頂きますが、山スキーからの谷スキーへの切り替えが非常に早いのが特徴です。 ○ジュニア育成について まず、自分のテクニックを作り上げるための基礎技術を教えます。スキーのズレ・キレ、身のこなし、タイミングの取り方などを専門用語を使い伝えていく。 次に、環境づくりで、ウェーブが少ない日本で、そういう環境を整えたスキー場でトレーニングさせる必要があります。 また、知識も必要で、例えば「角付け」という言葉の意味について、コーチとコンセンサスが取れるようにしておく必要があります。自分の言葉で自分の滑りが説明できるようにすることも大切です。 メンタル、そしてフィジカル(生体力学)も必要で、選手の能力や可能性を引き出すことが要求されます。そのほかでは、自己認識、用具の知識などと並んで、ルールやマナーの習得といった事までを含めて、魅力的な選手を育成することができると考えています。そのために取り入れているのが、ゴルフのファースト・ティー・プログラムです。この9つの教育的価値(スポーツマンシップ、誠実、忍耐、尊敬、判断力、責任など)を子どもたち教えて行きます。 ○JLSについて 最後に、SAJでは資金が不足していて、男子、女子の1月の遠征費が500万円不足し、中止の可能性があります。これを防ぐために、一般社団法人JLS(Just Loving Ski)を立ち上げて皆さんからの寄付を募っています。来週にはHPも立ち上がりますので、ご協力をお願いします。 |
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