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世界マスターズで金メダルの白井嘉子さんに聞く


広報委員 守谷紀幸


「ウサギと亀っているじゃない。私はね、亀なのよ。」
白井さんにスキーのことをお聞きすると、軽くいなされる。レースのこだわり派、自衛隊スノーウェーヴの中村さんからは、「白井嘉子のスキーでいいんだよ。」と言われているそうだ。
ともかくマイペースな方なのです。


Q:世界マスターズ大会について、お聞かせください

 世界マスターズの大会は、フランスの高級リゾート地メジェーブで、3月19日から22日までの4日間開催されました。大会前に市内でパレードが行われ、とてもアットホームな大会でしたよ。

 国際大会参加は、今回で2回目です。日本からは確か22名が参加していて選手20名、その内9名が女性でした。女性では82歳の方が最高齢で、もちろん優勝していました。男性は85歳の方もいて、皆さんお元気ですね。私も負けていられないという感じね。

 全体の参加者は450名ほどで、私のカテゴリC(30歳以上女子)は、大体100名程度ね。
メジェーブのコースは長くて急で、ねじれていて、しかもカリカリという、私だけじゃなく皆にも厳しいコースでした。本当に疲れました。あのコースに比べれば志賀の西舘コースも目じゃないわね。鹿沢は緩斜面。

 私の最大の目標は、全日本で優勝することだったの。それが世界大会で金でしょ、もう嬉しくって。長いコースだったのが良かったのかも知れませんね。ひたすら転ばずにゴールにたどり着くことだけを考えて滑っていました。SGはインターバルが長いのよ。ともかくひたすら我慢ね。SLとGSは銀メダル。
去年も厳しかったけど、なんとか完走してポイントを取っておいたので、今年は無条件で参加資格が貰えました。去年は10人参加のところ11人目で、メンバーの1人が怪我でキャンセルになったお陰で参加できたのよ。次回はオーストリアで開催だそうですが、来年もまた行きたいと思っています。


Q:スキーについて思うところは?

 このところ、県連の大会でも50歳代を過ぎると、私だけなの。ちょっとさびしいのよね。横浜スポーツマンのKさんも引退しちゃったし、私のマスターズ参加に火を点けた川崎の年下の方も去年転倒して車椅子生活になっちゃった。全日本に92歳で出場して表彰されたK・Tさんも引退されちゃったしね。私も80歳までは頑張ろうと思っているの。90歳はどうかな?

 長野の全日本の大会で優勝候補だった選手が、西舘の難しいコースで練習中に林に突っ込んで亡くなったということもあったそうなの。あと1本が命取りになることもあるので、最近は「もう1本」を止めにすることにしました。

 岩谷さんのレーシングキャンプは、最初と最後だけ参加しています。
横須賀市役所のUさんに誘われて、ロシのオープニングカップに後輩と参加しています。マスターズクラスもできたから、毎年シーズンの調子をこの大会で確認しています。

 みんなに助けられて今日があるの。毎年、お友達が増えて大変なくらい。
今年、神奈川マスターズで、ハンディキャップをお持ちの30代の方とお友達になったのだけれども、車椅子でも1人で参加しているの。凄く頑張り屋さんで、鹿沢の露天風呂に、私達でも「冷たいね」って言いながら歩いてくるところを、1人で来られるの。手伝いたいけど、いいって言うのよ。だから私なんかもっと頑張らなくちゃって思うのよ。


Q:どんなマティリアルを使っていますか?

 GSの板は3本持っていて、それをスキー場ごとに回して使っています。
以前は自分でチューンアップしたけど、手も荒れるし、今じゃチューンアップ屋さんにお任せ。とてもいいお店で、次に行くスキー場の雪質をスキー場に問い合わせて、ワックスを調合してくれているの。それで次のレース場へ、他の荷物と一緒に送っちゃうのよ。そうすれば、自分の部屋まで荷物が全部届いているわけ。車だと駐車場から乾燥室や部屋まで、自分で運ばなきゃいけないでしょ。それで、そこから次のスキー場へと送ってしまうの。自分は電車で身一つで戻ってくるというわけなの。時間も正確だし、すごく楽ね。

 私、12月から5月まで、週末はスケジュールが一杯なんです。スキー場は大体10箇所で、20戦はしてます。友達からは、「あなた何処へ行っても居るわね。」って言われてます。でも、皆さんが声を掛けてくれるので心強いですね。



Q:最近は、横須賀の大会でお見かけしませんが?

 横須賀の市民大会も参加しなきゃっていう義務感はあるんだけど。今年の大会はエントリーしていたんだけれど、腰痛でキャンセルでした。でも、女性で対抗者がいないから、ちょっとつまらないわね。色々な大会に参加して、自分のベストだと思う状態から落ちないように努力しています。


Q:白井さんの渾名の「ゴンちゃん」は、どういうところからきているんですか?

 それはね、歌舞伎に出てくる「白井権八」からきているのよ。昔、勤めているころは(横須賀共済病院の婦長さんを務めていました。)、私宛の手紙が「白井ゴン子様」で届いたものよ。

 白井権八は、幡随院長兵衛に鈴が森で「お若えの、お待ちなせえやし」と問われ、「待てとお止めなされしは、拙者がことでござるかな」と応える美貌の若侍のこと。何とも粋な渾名じゃございませんか。

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