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◆和田SAJ専門委員 詳細内容

■和田SAJ専門委員「スキーにおける障害予防対策」

 みなさまは、指導員を受けられるわけですが、最初は初心者でだれかに教わっていたわけです。それが、今度は教える立場になるわけです。ここまで元気にこれたのも、指導者の方々からうまく安全を意識させないで、技術を伸ばしながら、怪我もさせないでやっていただいたおかげです。今度は、指導員として、安全で楽しいスキーを実践させなければいけません。

◆怪我はつきもの、最小限に

 スキーと言うにはスポーツですので、必ず怪我はあります。大きいか小さいか。たとえば骨折するところを捻挫ですます、捻挫もさせないほうが良いですが。スポーツですから上達したいと思ったとき、自分の力以上で滑ることもあります。そうしますとムリがでて転ぶこともあるかもしれません。その時に怪我をない、もしくは捻挫で押さえるということです。帽子をかぶるということだけでも、エッジで切るところが打撲ですむかもしれません。と言うように、怪我の度合いを軽くする考えが必要です。上手くなるために転ぶこともあります。昔の準指の検定では、前に転べば積極性があって、後ろに転べば積極性が無いなど言われたこともあります。今はそんなことはないと思いますが、転ぶことも、自分から転ぶというのは意外に怪我をしません。子供の転び方がそうです。どうみても足が折れていそうな転び方をしていても元気で起きてくる。怖いもの知らずなんです。大人になると、恐怖感がでてきます。こうすれば安全ということはありません。幾ら気をつけても、もらい事故もあります。ただ、そこに居たら危ないとか、エッジは切れる、ストックは刺さるということはわかります。しかしスキーをはじめてされるかたは知らないということがあります。火が熱いというのも、やけどをしながら覚えたものです。

◆帰ってくるまで安全管理は必要

 現地のスキースクールであれば、スクール開始から終了までが責任範囲です。でも、我々のような雪無県の行事は、集合から解散、もしくは自宅へ戻るまでが責任範囲だと思います。雪上での講習も、午前中が終わり、午後1時からはじめますと、フリーにしてはいけません。フリー時間中に怪我をされても行事の責任になります。指導員は指導時間内だけが責任範囲で、それ以外は責任範囲ではないということはありません。そこは十分に考えてください。

◆オフシャルブック30P〜37P。

パトロールが来てやることは、一番重い症状を想定しています。また、パトロールですら対処によっては訴えられることもあります。かなり気を使って対応しています。たとえばエッジで切った場合も、暖かい場合ですと鮮血が飛び散りますが、氷が顔につくような冷えている状態では、傷口は開いても血は出ません。したにつれてきて暖かくなると出血するなどもあります。素人判断で怪我していないので大丈夫だとかやらないで、必ずパトロールにつててきて、医者の診断が必要になります。

◆FISルール

 オフシャルブック35P ピステ上の事故の発生を防ぐ、FISのルール(10の規則)があります。規則1の他者の尊重など、他社を危険にさらしたり、障害を与えないなど、あたりまえなのですが、みんな尊重しなければいけません。まさか、私は指導員養成講習会に参加したから違うんだなどと思ってはいけません。規則2スピードとスキーのとコントロールもそうです。上から下に滑ってくる初心者が、下に居る指導員に衝突した。どっちが悪い?ピステのルールでは、上から滑ってきてぶつかったほうが悪いのですが、指導員のケースでは、危険予知しないで、立っていることも悪いといわれるのです。資格を付与する団体から認定されている指導員は、技術を持っているとみなされ、司法の判断も指導員にも責任があるとしています。

 自然木ですが、昔は木にぶつかると危ないということで、マットが巻いてありました。しかし、自然の中に木が生えているのはあたりまえで、それを避けて通るのはスキーヤーの義務なのです。ということで、マットをハズしたすキー場もあります。もちろんゲレンデ内に有る人工物、リフト支柱などはマットを巻くなど安全の配慮をしていますが。自然木にマットを巻いて、それにぶつかって怪我したら、巻き方が悪いとなるのです。最近の傾向は、自然木はそのままという方向です。一部ではありますが、スキー場も自然の中であるということを忘れないようにしてください。規則10では、身元の確認というのがあります。事故が起きると、加害者と被害者ということになりますが、そこにもし出会ったら、目撃者として自分の身元をはっきりさせることも義務であると書いてあります。この辺を良く頭にいおれておいてください。

 神奈川から行くと、時間と御金をかけるわけですから、条件の悪いときでも無理しようとします。しかし、本当に条件の悪いときは、御茶にするとか、宿に帰るなど、勇気有る決断をしてください。こういうときに悪いのは、フリーにさせることです。フリーは事故の確率が高いのです。あなたの言うことを聞いてもらえるような、信任のある指導員になってください。それから、2次事故も多いです。ゲレンデの真中で転んだりします。上からも来ますし、玉突き衝突もありえます。事故が起きたときは、それ居場を悪くしない努力をしてください。ウエアーは最近良くなってきました。下に着込まないでもウエアーだけで寒くないのですが、実はそれで怪我もしやすい。注意してください。

 最近、ボードとカービングスキーの軌跡が一致してきています。ということは、スキーヤーのスピードが速くなってきたのです。前はボードの方が、1枚エッジで切れる切れるとぐんぐん飛ばしていました。へたはへたで横にぶんぶん振るものだから、スキーと合わなかった。今は、ボーダーも上達していおり、結構飛ばしてきます。今、カービングもそれに近い感じになり、いままで以上に、怪我の機会や程度が多くなる可能性があります。ボーダーがゲレンデの真中で座っているのも、端に行くと方向を変換できないということもあるのです。そういう特性を知った上で、スキーを安全に楽しく滑れるか実践していただきたいと思います。


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