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「SAK・SAC スノーパラダイスin北海道」
ニセコひらふ
大井智子 広報委員レポート

写真:バスの中で ご協力ありがとうございます
写真:各種案内中の渡辺本部長 案内をする渡辺本部長

●ニセコひらふ

 12月11日(木)快晴。午前7時30分、29人の乗客を乗せた「ニセコひらふ」スキー場行きのバスが出発した。スキー場まで3時間かかるせいか、今日の「ルスツ」「朝里川」「キロロ」スキーツアーの中では、なぜか一番、参加者が少ない。うち役員は2名。渡辺三郎教育本部長(以下、渡辺さん)と私だ。2分の1の責任は重い。去年「キロロ」行きのバスで、3回も人数を数えたあげくに数を間違えた、苦い思い出がこみ上げる。

 ……と消極的な気持ちでいるうちに、川崎スキー協会の宴会部長という若きホープ、大日方さんが、渡辺さんの命を受け「いち、にい、さん……」と乗客を数え初めてくれているではないか。私も最後に 1 回だけ数えた。ありがとう!!大日方さん。

 ほとんどの人は眠っていたが、前の席では、北海道スキーツアーはベテランという日立戸塚スキークラブの鈴木さんと SOS スキークラブの神谷さんが、よもやま話に花を咲かせていた。鈴木さんは、定山渓に泊まった最初の SAK 北海道ツアーから参加している常連さんだ。キャンセルして参加しなかったのは1回だけという。ひとりで参加していることで、かえって知り合いが増えてるようだ。一方、神谷さんは、鹿児島県スキー連盟の知り合いの人と北海道によく滑りに来るらしい。うーむ。鹿児島県スキー連盟とは、なんと新鮮な響きだろう。2.5年ほど室蘭に赴任していたそうだ。

写真:ルスツチームの阿部さんが撮った大井広報委員 ルスツチーム翁さん撮影の大井広報委員
写真:大井広報委員の撮影したルスツチーム 左から掘理事、吉野専門委員、加賀専門委員 大井さん撮影のルスツチーム

「悲しい転倒」

 8 時50分、バスは中山峠に到着し10分間のトイレ休憩。駐車場で、先に到着していたバス3台のルスツチームと合流した。なんだかちょっと懐かしくて、うれしくなる。駐車場からは遠くに羊蹄山が見えている。トイレの前で、山をバックにルスツチームの参加者を撮影した。

 それから、ちょっとしたものを発見した私は、それをめがけてつい突然ダッシュした。うかつなことに、私が履いていたのは普通のスポーツシューズで、地面は凍ってツルツルだ。激しく滑って、グギッと古傷の左足をねんざした。い、いたい……と地べたにへたりこんでいると、「だいじょうぶ?」と渡辺さんが心配そうに声をかけてくれる。

 みなさん。やはり北海道へはスノトレ履いていきましょう。脳裏には「これで、今回のスキーツアーは終わったな……。あとの取材は中里広報委員長に任すか」と悲壮な想像がかけめぐった。足をずるずる引きずりながら、再びバスに乗り込んだ。

 再び動き出したバスの中では、渡辺さんがスキー場と携帯電話で連絡を取り、一日券が2900円で購入できることが判明。フットワークのいい大日方さんのサポートを受け、バスの座席ポケットに入っているビニール袋にリフト券代が徴収された。

 そうこうしているうちに、ニセコの駐車場にバスが到着した。すっかりしょげた気分でバスを降りようとすると、大日方さんが「きょうは、ゴーグル忘れないようにしてくださいねっ」と明るく声をかけてくれる。去年の北海道「キロロ」レポートで「バスの中にゴーグル忘れた」と書いたのだが、それを読んでいてくれたのか!? う、うれしい……。

写真:みんなで集合写真を みんな集まれ〜♪
写真:渡辺さんの養成講習班、後ろには羊蹄山が 渡辺さんの養成講習班

「羊蹄山」

 駐車場に降り立つと、そこには中山峠で見た大きさの10倍ぐらいの「羊蹄山」がそびえていた。これだけはっきり羊蹄山が見えるのは、本当にめずらしいことらしい。今日の4コースの中では一番雪に恵まれているようだ、という情報も飛び交い「われわれはなんとすばらしい選択をしたのか」という勝者の気分にみんなでひたった。あまりの羊蹄山の美しさに、「こんなチャンスはめったにないので、ニセコ東山に写真を撮りに行きます」と、横浜スキー同好会の創設者という中本さんは別行動することになった。

 板を担いで駐車場の上にあるリフト券売り場に集合し、リフト券を購入。研修会や県民スキーの参加者は、本日はフリーだ。養成講習会の班を持つ渡辺さんが、いよいよゴンドラに乗りこむぞ、という段になって、「あれ?」と首をかしげている。どうも板が見当たらないらしい。

 だれかが、「バスから降ろした板が一本余ってましたよ。きっと写真を撮りに行った人の板だということになって、またバスの荷台に戻されてました。ゼッタイおかしいと思ったんだ」と証言する。責任感の強さから、いち早くリフト券売り場を手ぶらで目指した渡辺さんの板らしい。渡辺さんは、「すいません。板取ってくるんで、先にゴンドラ乗っててくださいね」とにこやかにみんなに言い残し、再び200mは離れている下の駐車場にひとり向かって行った……。

「あと一枚で、金のキョロちゃん!!」
写真:ニセコひらふも最高 ニセコひらふも最高

「金のキョロちゃんはあきらめよう」

 ゴンドラを降りてトリプルリフトに乗り継ぐと、気温はマイナス7度。そこに設置されていた「鐘」をだれかがリンリン鳴らした。するとだれかが、「鳴らせば、準指・正指受検に受かる」とささやき、次々にみながリンリン鳴らす。ああ、受検生は真剣だ。

 ところどころにブッシュは見えるが、ほとんどのコースは滑ることができた。まずは全コース踏破を目指して、渡辺さんを先頭に養成講習のメンバーと、一緒に滑ることを希望した何人かが一気にコースを滑り降りる。県民スキーから「ニセココース」にただひとり参加し、13日のバッジテストで 1 級受検に挑戦する山内さんは、私が共に滑ることになっていた。が、私のうかつなケガと、山内さんの足前のすばらしさから、だんな様も参加する養成講習班でいっしょに滑ってもらうことにした。山内さん、1級合格おめでとうございました!

 なお、山内さんのだんな様はそうとう楽しそうな人だった。独身のふりをすべく、奥さんのことをすぐ「いもーとです」と紹介したがる。「あと一枚で、金のキョロちゃん!!」と同じクラブの人たちがはやし立てるのに合わせて、羊蹄山をバックに両手のストックを上げてポーズを取ってくれた。なんでも準指受検は今回が4回目だそうで、銀のくちばしを5枚集めるともらえる(今もやってるのかな)、チョコボールのキョロちゃんにかけあせているのだ。その上、受検した3回のビブナンバーはたまたま同じ番号だったそうだ。そんなこともあるのですね。

 私の経験からすると、おっこった回数が多いほどいい先生になれる確率は高い。おっこちるたびに、いろんな引き出しが増えていくからだ。山内さんもきっとすばらしい先生になれるはずだ。キョロちゃんはあきらめて、ぜひがんばってくださいね。

写真:名物のオムライスカレー 名物のオムライスカレー?
写真:昼食休憩のひと時 さて、なにを注文したのかな…

「おいしいお昼ごはん」

 みんなでベストビューポイントで記念撮影をすませると、お昼の時間。羊蹄山がいっそう美しい。われわれ一団と、「ドルフィンスキークラブから参加しました」という5、6人のメンバーは、「ホテルニセコアルペン」2階の「レストラン・スラローム」で昼食を取る。ここが、なかなかおいしかったのだ!

 私が注文したのは「オムライスカレー」900円。おいしいっ。ほかに、あぶりしゃけなんとか丼とかもおいしそうだった。隣の席では、冒険をさけ、無難に平凡なメニュー(スパゲッティだったけ?)を注文した山内さんが、みんなのおいしそうな品々を見て、「しまった!!」とかなりくやしそうだった。ちなみにゲレンデのパンフレットには、「ゲレンデで食べる料理はサイコー!」という、ちよっと古くさいコピーとともに、「ホテル特製デミグラスソースを使用した、ボリューム、味ともに自慢のオムハヤシ」が写真入で載っていた。もしニセコひらふに立ち寄って「自慢のオムハヤシ」を食べるチャンスがあったら、どんな味だったか広報委員までご一報いただけると幸いです。

写真:羊蹄山をバックにツーショット う〜ん、楽しそうでうらやましい!
写真:羊蹄山をバックに、これはベストスポットかな 羊蹄山をバックにベストスポット

「基礎とポール」

 ここで、今年準指受検にチャレンジする、隣に座ったてんぐスキークラブの上田さんの話を紹介したい。それは、競技スキーとゲレンデスキー(今年から基礎スキーと言わない)との関係をじょうずに示唆する内容だった。

 上田さんは「スキー歴は20年。 16 年間は自己流でテールスライドのスキーしかやってなかった。4年前にクラブに入った。クラブはめちゃめちゃ楽しい。クラブに入って『自分はうまい方に属さないんだ』と思って、スイッチが入った。2年間基礎をやって2級、1級とポンポン取り、ポールが楽しそうだったので2年ポールを経験した。クラブの先輩に『準指とんねえのか』と言われて、行きがかり上、受検することになった」という経歴の持ち主だ。

 「ポールしかやっていないと、スキーについて知らないことが多い。速ければいいと考えて、体の向きが違うために板をうまく踏めてないことがある。無理に滑らすので、無駄が多い。タイムの遅い女の子はとくにその傾向が強い。自分もずっと何か足りないことがあるように思っていたが、2級を取って、1級を取ると、5秒速くなった。ポールでは、今自分が持っている技術で早く滑る方法を教えてくれるが、基礎をしっかり身につけると、踏みが全然違ってくる。早いとらえができてくると、雪面をとらえているという感覚が出てくるからだ。基礎をやると、おもしろいようにスキーの技術が変わっていくんだなあと実感した。それに、なんと言っても付き合いの幅が広がるし」と楽しそうに笑った。

 私も、なかなかうまくならないゲレンデスキーに半ばあきらめの気持ちがあり、今年、競技スキーに熱心なスキークラブの友人に引きずられるように、半値に値下がっていた去年モデルのワンピースと、ヘルメットを買ってしまった。広報委員の何人かと、岩岳のチャレンジカップにいきなり出場する予定でいる。なんでも完走するだけでたいへんらしいと聞く。だが、上田さんのお話は、「基礎をやっててよかったではないか!!」と大いに勇気を与えてくれた。上田さん、いつかポールで戦いましょう!ハンデ10秒ぐらいください!!

写真:リフトの乗りながらのアップショット
リフトからのアップショット
写真:そこの3人組みさん、楽しんでいただいていますかぁ
3人組さん、ありがとう

「みんなの感想」

 「ゲレ食」とは大違いのおいしい食事が済むと、みんなは早々にレストランを退場し、午後の集合時間前にひと滑りすめためにゲレンデに散って行った。私は隣の売店でシップを買って、ゾウのようにパンパンになった足首にぺたんとはった。それからコーヒーを注文し、ひとり優雅に食後の時間を満喫した。

 午後は渡辺班とわかれて、ほかの参加者を探すことにする。センターヒュッテ前で、ドルフィンスキークラブの3人に遭遇して、さっそく撮影。「休憩10分だけね」という彼らはかなりハードにゲレンデをかっ飛んでいたようだ。その後、しばらくセンターヒュッテ前のペアリフト前にとどまり、ほかの参加者に遭遇しないかなと、ぼうっと立って待ってみた。5組ほどの人に「神奈川県スキー連盟の方ですか?」と聞いてみたものの、みんなはずれ。北海道は、日暮れが早い。かつ、しばれる。去年、同じようにキロロのゲレンデに立ち続けて、そうとう気持ち悪くなったことを思い出し、「会えなかった皆様、ごめんなさい」と心の中で謝りつつ、リフト券回収のために、みんなより一足早めに券売り場に向かった。下のゲレンデには、修学旅行生がわしやわしゃと滑っていた。

 リフト券売り場で待っていると、ぱらぱらと参加者が到着し始めた。会えなかった人に、羊蹄山をバックに写真に入ってもらい、少しずつ感想を聞いてみた。

 「羊蹄山を見るのが夢でした」とおっしゃっていた神谷さんには、「足は大丈夫ですか」と鎮痛剤をいただいてしまった。ありがとうございました。

 ほかにも「ブッシュで滑走面が傷ついた」「本州は雪がないので、よかった。天気もいいし」「気持ちよく滑った。上の方のコースは人が少なくて、ずっと飛ばして滑ることができた。移動時間がかかるので、滞在時間が少なく、滑る時間が少ないのが残念」「研修会は北海道にかぎる。フリーの時間が多いのがいい」などと答えてくれた皆さん、ありがとうございました。

「すごく気持ちよくて、北海道に来てよかった。去年の3月、貸しスキーとブーツで札幌国際で滑ったがまったく思うように滑れなかった。今日は、自分の道具だし、雪も天気もよくて大満足。羊蹄山は思ったより大きく、“富士山”に例えられるのがよくわかる。きのうは1時半に寝て、今朝は5時に起きたのでけっこうきつかった。ミーティングをしていたので」と教えてくれたのは山内さん。「ミーティングなんて、すごいですね」と、キョロちゃんとはしゃいでた一団のファンキーな姿を頭に思い浮かべながら聞くと、「あしたの晩は、どこへ食事にいくかなど、今後のことを話し合いました」という。うーむなるほどと、納得する。

写真:広大なルスツ1 帰りのバスの中でも話が弾みます

お疲れ様でした〜

「コンビニで調達」

 全員無事集合し、バスは出発した。「おなかがすいた」というみんなの意見を反映し、15時45分、さっそくバスはもよりのコンビニに立ち寄る。レジでは、たばこ、複数本のビール、肉まん、アイスクリーム、レモンサワーなどを両手にたっぷり抱えた、 SAK ツアーのメンバーが列をなした。車内では紙コップが飛び交う。羊蹄山を右手に見つつバスはニセコを後にした。

 ゲレンデには行かず別行動で写真撮影をしていた、後ろの席の中本さんに「羊蹄山の撮影はどうでしたか?」たずねてみた。横浜の写真クラブに所属しているという中本さんは35ミリのカメラを持参。「ニセコよりも奥のアンヌプリのペンションに旧知の知り合いがいるので、会ってきました」という。「曇っていたらスキーしようと思っていたけど、こんなに晴れて羊蹄山が見えるなんて、めったにない。いつもは10回行っても10回だめなものです。きようは美しい山の写真が撮れました」と満足そうだった。みなさん、やっぱり私たちは、幸運だったらしいですよ。

 17時に再び中山峠に到着したときは、あたりはすっかり暗くなっていた。遠くにゲレンデの光が見える。だれかが揚げじゃがを買ってきて、バスの中で食べている。心配されていた市内の渋滞もなく、バスは18時30分に京王プラザホテルに到着した。

★電脳オヤジ「翁さん」のホームページ (北海道の写真満載です! クリック)
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